明太子とバターをたっぷり詰めたフランスパン「明太フランス」は、福岡のパン店で定番となっている。その元祖とされる「フルフル」では1日5000本売れる看板商品だ。多くのパン店がマネし、いまや“福岡のソウルフード”とも呼ばれるこのパンを生み出した店は、いかにして「日本一明太フランスを売る店」と呼ばれるようになったのか。フリーライターのサオリス・ユーフラテスさんが現地を取材した――。
「明太フランス」(左)と元祖店フルフルの3代目社長・古田量平さん
筆者撮影
「明太フランス」(左)と元祖店フルフルの3代目社長・古田量平さん

福岡市民のソウルフードになったパン

30cmほどの細長いフランスパンに切り込みが入り、鮮やかなオレンジ色のフィリングがぎっしり詰まっている。明太子とバターを合わせた「明太バター」だ。

福岡では「明太フランス」と呼ばれ、福岡のパン店では定番商品として親しまれている。今では老舗の明太子メーカーもこぞって作るようになった。

その元祖であり、「日本一明太フランスを売る店」とメディアに紹介されのが、福岡市内を中心に5店舗を展開する「国産小麦パン工房フルフル」である。

福岡市東区にある本店で明太フランスを買うと、スタッフが「カットしますか?」と声をかけてくれる。お願いすると、ザクザクザクッと小気味よい音を立てながら手際よく切り分けてくれた。

1本463円(税抜)。ひと切れちぎって口に運ぶ。外はパリパリと香ばしく、中のパンはもっちりとやわらかい。明太子のピリッとした辛みと、まろやかなバターがじゅわっと口の中で溶け合う。

ひとりで一本は無理だろうと思うかもしれないが、もうひとちぎり、もうひとちぎりと食べているうちに、なくなる。食べたあとも口の中がしばらくおいしい。ごはんにもなるし、小腹が空いたときのおやつにもいい。

この明太フランス、年間150万本売れている。売り上げ11.3億円のうち、4割ほどを占める看板商品だ。なぜ、これほど売れるのか。

国産小麦パン工房フルフルの「明太フランス」
筆者撮影
国産小麦パン工房フルフルの「明太フランス」