1日150回、焼いては売れる

お昼時になると、レジ前にずらりと行列ができる。

「コロッケ出来たてです〜」

元気な声が飛び交う店内では、スタッフが揚げたてのコロッケを並べていた。明太フランスも次々と焼き上がってくる。大きなバットにバタバタっと音を立てて並んでいく。

バットに並んだ焼きたての明太フランスは、あっという間に空になる
筆者撮影
焼き上がった明太フランスがレジ横のバットに並ぶ

横並びのレジからは「明太フランス何本ですか」「カットしますか?」という声が聞こえてくる。ザクザクッ、ザクザクッ。明太フランスを手際よくカットする音が響く。

明太フランスを手際よくカットするスタッフ
筆者撮影
明太フランスはレジで本数を伝えて購入する仕組み

バットに並んだ焼きたての明太フランスは、あっという間に空になる。空になると、また焼きたてが運ばれてくる。焼き上がりを数えてみると、1回に12本。売り場には並べない。レジ横の専用スペースに出した側から売れていく。

フルフルでは、明太フランスをまとめて焼くのではなく、約10分おきに小刻みに焼いている。その回数、1日に約150回。本店だけで、多い日には1300本を焼き上げるという。客は常に焼きたての明太フランスを手にすることができる。

客は常に焼きたての明太フランスを手にすることができる
筆者撮影
外はパリッと中はもっちりの明太フランス

家まで待てない買い物客

店を出て駐車場に向かうと、驚くべき光景を目にした。

車の横で、明太フランスにかぶりつくスーツ姿の男性がいる。スラックスにジャンパーを羽織った男性も、立ったまま明太フランスを食べている。きっと車のなかで思いっきり食べると、パリパリのフランスパンを食べこぼしてしまうからだろう。隣の車では、運転席と助手席に座る女性ふたりが明太フランスをちぎって食べていた。

焼きたてを焼きたてのまま口に運んでいる。

そういえば、筆者自身もそうだ。明太フランスを買ったら、たまらず車の中でちぎって食べてしまう。家まで待てない。それが焼きたての明太フランスなのだ。

この「家まで待てない」を生み出しているのが、1日150回という焼き方だ。いつ買っても焼きたてなので、すぐに食べたくなる。まとめて焼けば作業は楽になる。カット済みで並べれば提供も早くなる。でも、それはしない。非効率を承知で、焼きたてにこだわり続けている。

次の焼きたてが出てくるまで、お客さんも10分ほど待つ。

オーブンから明太フランスを取り出すスタッフ
筆者撮影
1日約150回、本店だけで多い日には1300本を焼き上げるという