パン店なのに野菜を売る理由

フルフルの敷地内にあるのは、パン店だけではない。野菜を売る「Baker's Marché しあわせな台所」という青果店がある。九州各地を中心に、こだわりの野菜や果物が並ぶ。ここにもひとが途切れずやってくる。地域のひととお店のひとが、野菜について会話を交わしていた。

Baker's Marché しあわせな台所
筆者撮影
マルシェには旬の野菜やくだものが所狭しと並んでいる
Baker's Marché しあわせな台所
筆者撮影
産地や品種を紹介してくれるPOPを読むのも楽しい

なぜパン店に野菜があるのか。きっかけは客の声だった。「パンを買いに来て、いっしょに野菜やごはんの食材も買いたい」。その声を実現するために知り合いの野菜ソムリエに委託した。

マルシェの隣には、イタリアン「クッチーナフルッタ」もある。朝8時からパンモーニングをいただくことができる。パン店の隣には「ファミリールーム」と呼ばれるレンタルスペースもあり、家族や友人との時間に使える。

パン店なのに野菜がある。イタリアンがある。レンタルスペースがある。すべては、地域のひとの憩いの場を作るため。フルフルは、パンを売るだけの店ではない。

パン好きが働く場所

取材に訪れたのは1月下旬。当日、福岡の最高気温は5度。雪が散らつくなか、パンと野菜を買って車に戻ると、ジーンと心も身体も温まったように感じた。顔を合わせるスタッフたちがみんな笑顔で挨拶してくれる。その余韻が残っていた。

取材で明太フランスを作る現場に入らせてもらったときのことだ。古田さんが「うちのパン好きなんだって」と筆者を紹介すると、スタッフが満面の笑みで声をかけてきた。筆者が以前、酵母から起こしてパンを作っていたことを話すと、目の色が変わった。

「パン好きなんですか? 今も作るんですか? 楽しいですよね〜! 一緒に働きませんか?」

ああ、本当にパンが好きで、ここで働いているんだなと感じた。

店の奥のパン工房
筆者撮影
店の奥のパン工房では、いろんな種類のパンが作られている