米サンフランシスコの日刊紙のサンフランシスコ・クロニクルは、「ポカリスエットは日本の電解質飲料で、その独特な名前と優れた風味から、欧米で熱狂的な支持を得ている」と紹介する。英語圏では「Sweat(汗)」の商品名が一瞬戸惑いを呼ぶものの、日本贔屓のアメリカ人などを中心に熱烈なファン層が広がりつつある。

もちろん、他の商品も粒ぞろいだ。ライアンさんは同紙に、「ネットでは手に入らない商品やお得な情報がたくさんあるし、近所のスーパーとして、コミュニティの場にもなっています」と語った。

約50キロ離れたサンラモンの街からは、8歳のジャスティン・ワンくんが母親のヨーヨー・ワンさんと車で駆けつけた。新鮮なシーフードのトレーを指差しながら、CBSニュースに「これ全部食べるのが一番楽しみ」と目を輝かせる。

仕掛け人は「ドン・キホーテ」の親会社

トーキョー・セントラルの親会社は、あの「ドン・キホーテ」のPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)だ。

米フィリピン系英字紙のアジアン・ジャーナルによると、店舗のルーツは1965年創業の日系スーパー「マルカイ」にある。PPIHによる買収を経てトーキョー・セントラルのブランドが誕生し、南カリフォルニアで11店舗を数えるまでに成長した。

ベイエリアでは、アップルのお膝元であるシリコンバレーのクパチーノに続き、イーストベイのエメリービル店が2店舗目となる。ベイエリアでは今後、さらに出店する計画があるという。

トーキョー・セントラルが掲げるコンセプトは、「Eat, Enjoy, Explore ―― Bring Japan to Your Table(食べて、楽しんで、探求しよう。日本をあなたの食卓へお届けします)」。一汁三菜の考え方を軸に、旬の食材から調理器具まで、日本の食卓をまるごと届ける。客を迎える姿勢も「おもてなし」で貫く。

ドン・キホーテを展開するPPIHの海外戦略は、アジアとアメリカでまったく別物だ。アジアでは「DON DON DONKI(ドンドンドンキ)」の看板で圧縮陳列と驚安商法を武器に急拡大している。一方、アメリカのトーキョー・セントラルは、商品を売るだけでなく、日本の食文化に触れる体験を大切にしている。

アマゾンも断念した「食の砂漠」に切り込んだ

ピクサー本社を擁し、バイエルやノバルティスといったバイオ大手がひしめくエメリービルは、テクノロジーの最先端を行く街だ。

だが意外なことに、オークランドとバークレーに挟まれたこの小さな街は、長年「フードデザート(食の砂漠)」と呼ばれてきた。コスターによれば、食料品店は品揃えを絞ったトレーダー・ジョーズとディスカウント店パック・ン・セーブの2店だけ。

総合スーパーで買い物をするには、隣のバークレーかオークランドまで車を走らせるしかなかった。2018年にはニュー・シーズンズ・マーケットが出店準備を進めていたが、開店まであと数週間というところで撤退している。