仕事の失敗の大方は準備不足

しかし、それを「運が悪かった」で片づけていたら、再発防止はできません。たしかに人の世は運不運に左右されるのですが、不運に見舞われたときにダメージを最小限に抑えることはできます。

そのために重要なのは、入念な「準備」にほかなりません。もちろん絶対に失敗しないパーフェクトな準備はあり得ませんが、さまざまな可能性を考慮に入れたシナリオを用意しておけば、不測の事態にある程度まで対応できるはずです。

実際、仕事で思いどおりの結果が出なかったときの原因は、大半が準備不足。徹底的に原因を掘り下げていくと、自分の考えが足りず、準備の詰めが甘かったことに気づくでしょう。

頭を抱え、心配そうに書類を見ている男性
写真=iStock.com/Liubomyr Vorona
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だからこそ、原因究明には大きな意味があります。どんな準備が必要だったかがわかれば、次に同じような仕事に取り組むときは、そこを抜かりなくやっておくようになるはずです。

それでもまた、別の失敗は起こるでしょう。そうしたら、また原因を分析して、次に活かせばいいだけのこと。そうやって準備力が高まり、多様なシナリオを描けるようになるのが、職業人として成長するということにほかなりません。

そもそも計画に問題がある

計画がよく考えて練られたものであれば、実行、評価、そして改善という流れは自然とうまくいきます。しかし、計画がよく練られていないと、次に生かせる「改善」には程遠く、また同じ過ちをくりかえすだけでしょう。

先ほどは、失敗の再発防止には原因究明が大事だというお話をしました。その分析の手法のひとつに、「PDCAサイクル」があります。マネジメントの定番なので、社会人1年生でもこの言葉を見聞きしたことはあるのではないでしょうか。

これは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)の頭文字を取ったもの。作業をP→D→C→Aの順に進めて、最後の「A」を最初の「P」につなげるサイクルを回していくという考え方です。

いわれてみれば誰しも「なるほど」と思う考え方でしょう。何をするにしてもまず計画がなければ始まりませんし、それを実行したら、うまくいったかどうかを評価するのが当然です。うまくいかなかったことがあれば、改善して次の計画に活かさなければなりません。

しかし、いうは易し行なうは難し。このPDCAサイクルを回すことで業績アップにつなげるのは、簡単ではありません。いざやろうとすると、途中で引っかかってしまう。

僕が見聞きしてきた範囲でいちばん多い悩みは、「CとAがうまくいかないので、サイクルが回らない」というものでした。つまり、計画した事業を実行するまではできても、その結果の評価がきちんとできず、したがって改善につながらないというのです。

そのため、三番目の「評価」をどうやるかがPDCAサイクルのカギだと考えている人が多いのですが、僕はそうは思いません。CとAがうまくいかないのは、そもそも一番目のP、つまり計画そのものが甘いことが多いからです。