【田原】場所はどこがいいだろう。日本国内にこだわると難しいかもしれませんが、やるとしたら北海道とかですか。

【出雲】まずは日本でやりたいですね。培養には日当たりが大事なので、なるべく南のほうになると思います。

【田原】沖縄の基地なんてどうだろう。

【出雲】おお、それは最高ですね。基地からサプリや燃料が出てくると。その発想はありませんでした。

【田原】出雲さんの話を聞いていると、いろいろと夢が広がってきます。今日は本当におもしろかった。今後も注目しています。

田原総一朗が見た出雲充の素顔

最初にミドリムシで地球を救うと聞いたときは、うまくないホラ話に聞こえて、具体的にイメージできなかった。でも、出雲さんの説明を聞いて合点がいった。僕は、ミドリムシでおなかが満腹になるわけがないと思っていた。しかし、いま世界で起きているのは飢餓ではなく栄養失調。ミドリムシには人間に必要な栄養素59種類すべてが入っているので、これを食べれば栄養の問題を一気に解決できるというわけだ。さらにミドリムシは、飛行機のジェット燃料にもなるという。まさに夢の生物である。

ミドリムシの可能性は80年代から世界中で注目されていたが、大量培養に成功した人は誰もいなかった。それを成功させた出雲さんは、ノーベル賞ものだと思う。

ユーグレナ社長 出雲 充
1980年、広島県生まれ。東京大学農学部卒業後、東京三菱銀行に入行も1年で退社し、2005年、ユーグレナ設立。同年12月には世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功。12年、Japan Venture Awards「経済産業大臣賞」受賞、世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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