大手都銀を1年で退職し、起業
【田原】出雲さんは大学に残らず、卒業後は現在の三菱東京UFJ銀行に就職します。なぜ銀行に?
【出雲】理由は2つあります。1つは、ミドリムシがまったく育たなかったから。もう1つは、将来、会社をつくるときに役立つのではないかと思ったからです。研究資金がまったくなかったので、銀行に入ればものすごいお金持ちと出会って、援助してくれるんじゃないかという淡い期待もありました。
【田原】銀行は1年で辞めてしまいますね。これはどうしてですか。
【出雲】平日は神保町支店で働き、土日にミドリムシ研究をしていた先生のところに相談に行っていたのですが、どうも先生方に思いが伝わらなくて。「銀行員の週末の楽しみとしては熱心だね」という程度にしか受け止めてもらえなかったのだと思います。思い切って退職したら、メチャクチャ協力してくれるようになりました。
【田原】そのほかに協力者として、堀江貴文と会いますね。僕は堀江と親しいけど、どういう経緯で会ったのですか。まだ彼が絶好調のとき?
【出雲】2005年のお正月にお会いしました。ライブドア事件の約1年前ですね。そのとき「ミドリムシで世界から栄養失調をなくします」と挨拶したら、堀江さんからは「俺はロケットやってるけど、ミドリムシは宇宙食によさそうだね」と、いきなり返ってきました。3日後にまたお会いしたのですが、その間にミドリムシのことを調べてくれていて、「大量培養する自信があるなら、お金を出すよ」と援助してくれることになりました。
【田原】ちなみにいくらくらい?
【出雲】それは秘密です。東大の科研費より多かったです。そのほかに会社の場所や、コピー機、パソコン、机や椅子も貸してくれました。