記憶力のいい人はなぜ、記憶力がいいのか。医師の和田秀樹さんは「人は目的を持ちアテンションが払われると、それに関する情報をグングン取り込むようになる。アテンションには放っておいてもアテンションが向く『インタレスト(関心)』と、資格取得や外国語の習得などインタレストのないものに努力してアテンションを向ける『コンセントレーション(集中)』の2つがある。これを改善する方法も、やはりいかに関心を持つかにかかっている」という――。
※本稿は、和田秀樹『70歳からの老けないボケない記憶術』(ワン・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
関心が向かないと覚えられない
物事を記憶するうえで重要なのは、「目的」を持つことです。目的があれば、おのずとそこに関心が向くようになり、アテンション(注意)が払われます。
すると、脳はスイッチを押されたように働き始め、それに関する情報をグングン取り込むようになります。脳が自然に情報を集めている状態といっても過言ではないでしょう。
逆に目的を持たずにいるとアテンションが払われないので、情報がキャッチできなくなり、記憶として留まりません。人間は、アテンションが向いているものは自然に覚えられますが、そうでなければなかなか覚えられません。
鉄道ファンが車両の形式や駅の名前をびっくりするほど覚えていたり、サッカー好きが海外の選手の名前やポジションをすらすらと言えたりするのは、常に関心が高く、どんなときでも注意が向けられているため、情報が脳に収集されやすい状態にあるからです。
もし、あなたが今後、ビジネスや趣味で自分の武器にしたい分野があるなら、「あの資格試験に挑戦しよう」「中国語をマスターしよう」といった具合に、それを目的として定めることが、記憶定着の足がかりになります。
しかし、いくら目的を持っても、なかなか覚えられないこともあるでしょう。

