【田原】競争相手とどう差別化しますか。

【村上】求人サイトは、求人情報とユーザーの両方を一気に集めなければ使われません。その点で言うと、企業に対して最初にこのモデルをつくったということで信用があるし、たとえば検索エンジンで、「渋谷 アルバイト」と入れたら当社が上位に出てくるように、ユーザーの集客力もある。そこで差別化ができるんじゃないかと。

【田原】でも、それだけで差別化できますか。たとえばネット証券は数多くの会社が参入して、結局は手数料を下げざるをえなくなった。

【村上】安値勝負にすると、品質にかけられるコストが落ちてしまい、安かろう悪かろうになりかねません。だからこれまでのところ、当社はむしろ金額を上げる方向でやってきました。

【田原】だとすると、なおさら、ほかのところで差別化が必要になります。

【村上】当社のロゴには「はてな」と「しずく」が隠されています。「はてな」は、いままであたりまえだと思われていたことを疑う視点が大事であることを示しています。一方、「しずく」は、そうやって考えたことを、日々の小さな努力を積み重ねることで突き詰めていこうという姿勢を表しています。私は企業の明暗を分けるのは、しずくの力というか、オペレーションや効率性の部分で、徹底的に改善を繰り返していく力にあると考えています。当社はしずくの力で優位に立ちたいですね。

リブセンス社長 村上太一
1986年、東京都生まれ。早稲田大学高等学院、早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中の2006年にリブセンス設立。アルバイト求人サイト「ジョブセンス」をはじめとしたインターネットメディアを運営。11年12月に東証マザーズ、12年10月には東証1部へ上場。ともに史上最年少記録を更新した。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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