求人広告のビジネスモデルは、リブセンスの登場前後で大きく変わった。同社の運営する求人サイト「ジョブセンス」が成功報酬型を導入し、いまや多くの会社が追随している。同社を学生時代に立ち上げ、6年弱で上場企業に育てたのが26歳の村上太一社長だ。人懐っこい表情がトレードマークだが、にこやかな視線の先に見据える、彼の野望とは──。

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確率を考えていたら起業はできない

【田原】村上さんは会社経営が自分の生きる意味だとおっしゃった。プライベートという概念もないでしょう。

【村上】はい。休日も普通に働いていて、オンやオフの意識もないです。

【田原】だいたいオフといっても、することないもんね。僕の休日は1年に1日、1月2日だけ。元旦は「朝生」をやって、1日の夕方から家族とホテルへ行き、2日はお墓参りとお寺参り。もうそれで十分だよ。

【村上】私も似たようなものです。創業時に、サイバーエージェントの藤田晋社長の本を読んだんです。藤田さんは1日15時間、週110時間働いているそうです。起業にはそれくらいのエネルギーと、その大変さを乗り越えられるくらいのモチベーションが必要だとおっしゃっていて、なるほどと。

【田原】モチベーションは、どうやって上げているのですか。

【村上】モチベーションは上げるものというよりは、湧き出てくるものという感覚があります。

【田原】従業員はどうですか。湧けといって湧くものでもないでしょう?

【村上】当社は「あたりまえを発明しよう」というビジョンをかかげています。いまでこそ宅配便はあたりまえのサービスですが、クロネコヤマトが宅急便をやるまでは、存在しなかった。そういうものをつくって、多くの人に使われれば、社員の誰もが喜びを感じられるはずです。それが社員のモチベーションの源泉になればいいのかなと。

【田原】あたりまえを発明するってどういうことですか。

【村上】たとえば大塚製薬のポカリスエットもそうです。運動をやるときに水を飲んではいけないという時代があったそうですが、ポカリスエットという吸収性のいい飲料が登場し、きちんと水分補給することがスポーツの常識になった。これってすごいことですよね。