【田原】そこで聞きたい。ポカリスエットにしても、ジョブセンスにしても、新しい常識はどうやって生まれるのか。直感ですか、それとも計算?
【村上】どうでしょう。不便や問題を解消する方法を考えるという点では、直感というよりロジックですかね。
【田原】いま『統計学が最強の学問である』という本がよく売れています。この本で著者は、偶然はない、つまり直感はないと説いていました。ただ僕は、統計学は確率論でつまらないと思っている。とくに事業って、答えがないから面白いわけでしょ。
【村上】統計学はロジックを説明するときに便利です。ただ、過去の常識をもとにしているので、未来を予測して新しいものを生み出すということには向かないかも。私の場合は、むしろ確率論を超えていくところに興奮を覚えます。そもそも成功の確率を考えていたら、起業なんてできない(笑)。
宇宙エレベーターをつくってみたい
【田原】なるほど。ところで、村上さんはどうなったら成功と考えていますか。上場しても達成感は一時的だと思う。
【村上】おっしゃるとおりで、達成感はないです。いまのサービスは、まだあたりまえにはなっていない。当社はまだ売上高シェア10%も取れていないと思います。当社の売り上げは今期予想で33億円ですが、リクルートさんは派遣の領域も入れると1兆円を達成している。もう桁が全然違います。
【田原】じゃあ、もっと事業を拡大させないといけない。いまは日本市場だけですが、いずれは世界も?
【村上】そうですね。まずは日本市場でナンバーワンを取りたいです。海外進出する際は、まずはアジアでしょうか。