いずれ経済は回復して成長軌道に戻るという信念

この企業が著名なのは、投資家としての名声を確立しているウォーレン・バフェット氏が代表者だからである。

筆者にとって印象的だったのは、2008年9月以降のことである。米大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を契機としたリーマンショックのその瞬間、バークシャー・ハサウェイがチャンスとばかりに株式市場に買い出動した。

なぜ買い出動できたのか。

絶好の買いチャンスにいつでも向かえるように、バークシャー・ハサウェイがすぐさま現金化できる資産を大量に持っていたからである。

さらに言えば、何かのショックで株価が急落することは十分あると予測しつつも、一方でショックといえども一時的であり、いずれ経済は回復して成長軌道に戻るとの信念を持っていたからである。

しかも主力事業として保険分野を有していることも指摘しておきたい。詳しい説明は省くが、保険事業はバークシャー・ハサウェイに豊富な現金収入をもたらす。この現金が株式運用の資金源となっている。

海外株式に注目していた筆者は、バークシャー・ハサウェイの事業内容と、ウォーレン・バフェット氏の有言実行をニュースなどで知り、「素晴らしい企業」と感じた。図表1で見るように、株価はコンスタントに上昇している。

この事例は、株式の長期運用において、経営者を見る必要性を教えてくれる。当たりはずれは大きいのだが、創業者が健在もしくはその精神が受け継がれている企業の中からは、「光る企業」が見つけられると記しておきたい。

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この点は社風にも通じる。日本企業の場合、この反面教師が非常に多いことも指摘しておく。その代表事例が某総合電機大手である。粉飾決算と、その後のごたごたとを繰り返した挙げ句に、結局のところは上場廃止の道を選んだ。

画期的なGoogleマップと圧倒的な検索制度

製品やサービスが画期的

読者もそうだろうが、筆者はいくつもの素晴らしい製品やサービスに出会ってきた。その都度、この企業の株式を買えばどうだろうかと思った。何社か挙げておく。

最初はグーグルである。今の社名はアルファベットに変わった。ティッカーコードは(2種類の株式が上場されていることから)2つあり、「GOOG」と「GOOGL」である。

2つのサービスを画期的だと感じた。

その1つは、言わずと知れたインターネット検索である。グーグル以前、いくつものインターネット検索会社があったものの、使い勝手が悪かった。それらを一気に、かつ圧倒的に超えたのがグーグルだった。

もう1つは、グーグル・マップだった。旅行好きな者にとって、この地図は画期的だ。山岳地域は空白に近いが、その場合はグーグル・アースが衛星写真を提供している。今でも時々だが、グーグル・アースでグーグル・マップの空白部を埋め、情報を補っている。

そのグーグルの経営が黒字化するのも早かったと記憶している。それだけ技術が画期的であり、その技術を背景にインターネット検索での独占的地位を確立したのだろう。以上から、上場当初の株価も高かった。