終身雇用を望まず、転職する人が増えている。だが、元東京国税局職員の小林義崇さんは「日本の退職金制度は、今なお多くの企業で終身雇用を前提に設計されている。厚生労働省によると、勤続年数の差が10倍ある場合、退職金はなんと約53倍も差がつく」という――。

※本稿は、小林義崇『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

退職届を手渡す人
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1年間未納するだけで60万円も減ってしまう

会社を辞めるとそれまで加入していた厚生年金から自動的に外れ、新たに「国民年金」に加入する必要があります。この手続きは、原則として退職後14日以内にお住まいの市区町村の役所で、基礎年金番号がわかる書類を持参して行います。

その後は、毎月1万7千円ほどの国民年金保険料を納める必要があります。会社員の厚生年金保険料は給料から天引きされますが、退職すると自ら国民年金保険料を納めなければいけません。

納付方法は、年金事務所から送られてくる納付書を使う方法と、口座引き落としがあり、引き落としなら払い忘れを防げます。

もし、国民年金保険料の納付を怠って未納状態になると、将来の年金が減るおそれがあります。たとえば、国民年金の保険料を「1年間・未納」のまま放置していたら、65歳から受け取れる年金が年額で約2万円減ってしまうのです。

長生きして年金を30年以上受け取れるとしたら、たった1年の保険料未納で合計60万円もの年金が減ることに。1年分の国民年金保険料は20万円ほどなので、それで60万円をもらえなくなるのは損ですよね。

国民年金保険料は「免除」や「猶予」ができる

とはいえ、失業中で収入が減っていたら、国民年金保険料を納めるのが難しいケースもあるかもしれません。すぐに転職先が見つからなかったり、自身や家族の病気などで仕事復帰まで時間がかかったりして失業手当の期間(90~330日)も切れれば、毎月の国民年金保険料を払いたくても払えない可能性もあります。

そのようなときは、ぜひとも国民年金保険料の支払いを「免除」や「猶予」してもらう手続きを済ませておきましょう。

これによって、保険料の負担を抑えられるほか、老後の年金や、障害基礎年金や遺族基礎年金(『僕らを守るお金の教室』(サンマーク出版)296ページ参照)がもらえなくなったり、減額されたりするリスクを下げられます。