学生時代や失職中の保険料は追納したほうがいい

国民年金の保険料免除制度は、その名のとおり保険料の負担を免除してもらえるしくみです。実際に免除される保険料の割合は、前年の所得金額によって全額/4分の3/半額/4分の1と段階があります。

保険料免除制度にはデメリットもあり、保険料を免除してもらった分、将来支給される老齢基礎年金が減ってしまいます。

ただし、免除期間の分も本来の年金の2分の1は支給されるしくみなので、単に保険料を払わず未納にしておくよりはずっとマシです。

20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納付していた場合、将来受け取る老齢基礎年金は年額79万5千円(2023年4月時点)。この40年間ずっと免除を受けていたとすると、保険料を支払うことなく老齢基礎年金を年額39万7500円もらえます。

また、免除を受けた人には「追納」が認められていて、経済的にゆとりが生まれたら、後から免除期間の国民年金保険料を納めることができます。これにより、将来の老齢基礎年金を2分の1ではなく満額にできます。

なお、追納ができるのは「免除や猶予を受けた期間から10年以内」という期限があり、免除を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると支払う保険料に一定割合が加算されます。

後から納めて年金を満額受け取りたい人は、できるだけ早めに追納しましょう。

「未納状態」で放置は一番やってはいけない

こちらは、20歳から50歳未満で前年所得が一定以下の場合、「保険料の支払いを待ってもらえる」しくみです。

免除と違い、猶予を受けたら後で「追納」して必ず保険料を納める必要があります。この手続きを怠ると、将来受け取る年金が少なくなってしまいます。

追納するには、まず最寄りの年金事務所で追納の申請をして承認を受ける必要があります。承認を受けると納付書をもらえ、これを使って納付します。国民年金の免除と猶予、どちらの場合も「前年所得」が重要な判定ポイントですが、失業したばかりの人は前年所得が高く、制度を利用できないおそれがあります。

つまり、実際はお金がないのに「お金がある人」という扱いになってしまうのです。しかし、そのようなときも、市区町村の役所や年金事務所に、失業したことを知らせると免除や猶予を受けられる可能性があります。

このほか、産前産後の期間など、国民年金保険料の負担を特別に免除や猶予してもらえる制度がいくつかあります。とにかく、国民年金保険料の支払いに困ったら、最寄りの年金事務所で相談しましょう。

将来の大切な年金を守るためにも、「未納状態」で放置が一番いけません。