話が上手な人と下手な人の違いとは何なのか。明治大学の齋藤孝教授は「話が『無駄に長い』人は、コンパクトに要約できていないのに、それをおかしいと思わずにスピーチしてしまう。時間感覚を養うための簡単な方法がある」という――。

※本稿は、齋藤孝『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』(宝島社)の一部を再編集したものです。

マイクで話す男性
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話が下手な人は論理性に欠ける

論理性に欠ける人は、思いつくまま、だらだらとカオスな話し方ばかりしてしまいます。これが職場であれば「あのプレゼンはいつもわかりにくい」という評価になってしまうわけです。

話が苦手な人は、相手が聞きたいことを先に言わずに、頭の中に浮かんだことから先に話したり、自分が言いたいことだけを多めに話したりする傾向があります。

一方、多くの人は日常会話でそれほど神経をとがらせてはいないものです。ためしに居酒屋などで仲間が話している会話を録音し、それをそのまま文字に起こしてみたら、文法や単語の選択はかなり乱れた形になっているはずです。

書くのはなんとかできるけど、話すのは苦手という人もいますし、そもそも「話し言葉」と「書き言葉」は同じではないですが、どちらもスラスラとできるのにこしたことはありません。会社でプレゼンを成功させるには、わかりやすく構成された資料を自身が作り、さらにわかりやすい言葉で、限られた時間で伝えるという両方の作業が必要になります。

難しい話を子どもにも説明できるかどうか

話すことが上手な人というのは、難しい話を小さな子に説明するのも上手にこなします。

話の内容を正しく構造化し、再整理して語彙ごいを平易なものに置き換え、省くところは省き、わかりにくそうな部分は繰り返したり、強調したりできる人。つまりは、論理的な思考ができる頭のいい人ということです。

言葉の置き換えができるということは語彙力があるということで、なにより問題の本質を深く理解しているため、別の角度から違った表現で説明ができます。新聞の難しい記事を、そのまま平行移動して難しくしか話さないというのは、実は誰にでもできることです。記事の内容を構造化して再整理し、頭の中で編集することが必要になります。

40代の皆さんが社内で、大人同士で話すのであれば、「仕事ってそういうもんだよ」「それが世の中だからね」という前提で、大概のことは細かく話さなくて済んでしまいます。ところが小さな子どもは妥協を知らないイノセントな思考ですので、「なんであいさつが大切なの?」と、こちらの目を見て真剣に聞いてきます。その際、「いや、そういうもんなんだよ」では納得させられませんし、自分自身がわかっていないことにも気づくことになります。