新聞紙面のように「大事なこと」から話す

この3点を意識しながら話す中で、たとえば「新聞紙面のように話す」という方法もあります。最近はニュースをネットで見るのが主流なので、40代の方にもあまりピンとこないかもしれませんが、新聞の一面は大きな横書きのドーンとした見出しからはじまり、次に縦書きの中くらいの見出し、次に数行のリード、そして本文という流れになっています。その本文もいくつかの段落に分かれています。

新聞というのは原則的に大事なことから先に書いてあります。極論すれば、見出しとリードだけで最低限の事実は伝わるわけです。一番大事なことを最初にズバリと書いてしまい、それを補足する形で次の段落にも情報を記し、エビデンスとなるグラフや表をつけることで理解をしやすくしています。先の「要約力」「時間感覚」「例示力」と重なることがわかると思います。話し方もそんなイメージですると自然とうまくなるということです。

話が苦手な人は、相手が聞きたいことを先に言わずに、頭に浮かんだことから先に話したりする傾向があるという話をしましたが、この方法が習慣化していると、そういう過ちはまずしなくなります。

与えられた時間が仮に3分あるとすると、紙面でいえば「一面を全部話せるかな」となりますし、5秒であれば「うーん、見出しまでか」ということになります。この時間感覚を身につけておくと様々な場で役に立ってくれると思います。

プレゼンを行っている男性
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説明が上達する4段階の話し方

この新聞方式をよりシンプルに、4段階のフォーマットにした話し方についてもご紹介します。基本的な考え方は同じです。

話し方の基本構造を4つの段階に分け、①「まず、ひと言でいうと●●です」(本質の要約)→②「詳しく言えば●●です」(ポイントを3つほど)→③具体的に言うと●●です(例示、エピソード)→④「まとめると●●です」(最終まとめ)――という流れです。

どんな説明でもこのフォーマットに乗せて話すことを習慣化するのです。そして大切なのは時間間隔です。ストップウォッチを片手に持ちながら、「1分で」「30秒で」あるいは「15秒で」話す練習を繰り返してみてください。最初に15秒の感覚が完全に身につけば、30秒はその倍としてイメージすることができるでしょう。

15秒といえば平均的なテレビCMの1本分の尺ですから、そう考えればかなりの情報を伝えることができるはずです。披露宴の席で中身の薄いとっ散らかった話を10分もしている場合ではありません。この4段階の基本フォーマットを取り入れて、ストップウォッチで時間感覚を染み込ませるだけで、見違えるほど説明は上達するはずです。