狙い目は高配当株と成長株の投資信託

新NISAの成長投資枠では、国内外の個別株やREIT(不動産投信)などつみたて投資枠では選択できない幅広い商品から投資先を選べます。購入方法は、自分でタイミングを見て注文を出す、積み立て設定をする、どちらも可能です。年間240万円、総額1200万円までの投資の利益が無期限で非課税になります。ただし、非課税の金額は、つみたて投資枠と合わせて1800万円が上限です。

成長投資枠で投資先を選ぶポイントの一つは保有コストです。成長投資枠は商品数が多い分、信託報酬が極端に高い地雷商品がたくさんあります。つみたて投資枠の対象商品は信託報酬が一定水準であることが条件ですが、成長投資枠にはそれがありませんので注意が必要です。アクティブファンドの中には「テーマ型」と呼ばれるものがあります。これは、世の中のトレンドに合わせて、特定の地域、業界、企業に投資するものです。最近ではAIや自動運転をテーマにした投資信託が話題になっていますが、多くは信託報酬が高く、旬が短く、投資した瞬間に運用パフォーマンスが悪化していく懸念があります。新NISAは長期運用が基本ですから、避けたほうが無難です。

成長投資枠で購入できる注目商品のうち、値上がり益を狙いつつ、定期的に分配金が欲しいなら高配当株ファンド、オルカンやS&P500よりも積極的に利益を狙いたいなら成長株ファンドが選択肢です。4本の高配当株ファンドのうち、「日経平均高配当利回り株ファンド」は、唯一つみたて投資枠でも購入が可能です。純資産総額は約1500億円と、他の日本株ファンドと比べて人気が高いことがわかります。「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」は、2023年12月に設定・運用開始した新しい商品です。その後、7カ月強で純資産総額が700億円に達し人気が高いといえます。本ファンドはアクティブファンドであるにもかかわらず、信託報酬が年0.099%と圧倒的に低いのが魅力の一つです。この投資信託のREIT版が「SBI・JREIT(分配)ファンド(年4回決算型)」です。REITは株と比べて値上がりに期待はできませんが、定期的に分配金を受け取る目的であれば、定年後の年金の上乗せとして適している商品の一つです。

米国の高配当株なら「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」が候補です。米国の大型株の中で10年以上の連続増配銘柄に投資する商品です。

高配当株ファンドの中には、連続増配中の銘柄だけで構成されたファンドもあります。連続増配とは、1株当たりの配当金の額が増加を続けている銘柄です。高配当株に投資しても、減配されると受け取れる配当金の金額が下がり、それによって株価も下がってしまう可能性があります。

連続増配銘柄は、そうした減配の可能性が低いですし、投資信託であれば複数の銘柄に分散投資されているので、高配当株ファンドよりも値下がり耐性は高いです。投資対象が米国株であれば、「SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」、日本株であれば「iFreeNEXT日経連続増配株指数(年4回決算型)」が低コストファンドとしておすすめです。日本でも最近、連続増配株が注目され、23年6月末から「日経連続増配株指数」の公表が始まりました。この指数は、国内に上場する銘柄のうち、原則10年以上連続増配を続ける70銘柄で構成されています。「iFreeNEXT日経連続増配株指数(年4回決算型)」は、この指数に連動する運用を目指しています。

成長株ファンドには、ナスダック100やSOX(フィラデルフィア半導体指数)などに連動する投資信託があります。ナスダック100は、ナスダック証券取引所に上場する銘柄のうち、主に時価総額上位100銘柄(金融を除く)で構成される株価指数です。マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ、エヌビディア、テスラの「マグニフィセント7(荒野の七人)」への投資ウエートが約6割を占めています。連動する商品の中で信託報酬が低いのは、「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」「楽天・NASDAQ-100インデックス・ファンド」「eMAXIS NASDAQ100インデックス」の3本です。

一方でSOXは、米国を中心とする半導体・半導体製造装置株30銘柄で構成される指数で、エヌビディア、TSMC、ブロードコム、AMDなどが主な構成銘柄です。半導体分野を積極的に攻めたい人には、SOXに連動した投資信託が候補です。信託報酬が低いのは「ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)」「楽天・SOXインデックス・ファンド」の2本です。楽天証券を利用している人であれば、後者が投信保有ポイントプログラムの対象なので、より有利です。