友達をつくるのが得意な人と、苦手な人は何が違うのか。心理学者で友情の研究を行うマリサ・G・フランコさんは「人は自分と養育者との初期の関係を土台として、愛着スタイルを発達させる。この愛着スタイルによって、友達ができやすい人とそうでない人が決まる」という――。
※本稿は、マリサ・G・フランコ『FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい』(日経BP)の一部を再編集したものです。
クールな「一匹狼」の正体
「私は誰も必要としていない。自分さえいればいい」
個人主義のアメリカ社会は、「プロテスタントの労働倫理」によって定義されています。自力で何でもやり遂げるよう駆り立てられ、人生で出会う障害物をひとりで耐え抜く能力が評価され、悲劇にも動じない強さが称賛されるのです。
「泣きなよ。感情を抱くのは健全なことだから」ではなく、「泣くのはやめなさい」と言われるのです。
私たちが抱く「冷静なイメージ」とは、不自然な無関心さが特徴です。単に何にも関心を持たないがために冷静な人が、尊いと言われるのです。
「冷静である」という言葉は、皮膚コンダクタンス〔皮膚の電気伝導度〕から来ていると考える科学者もいます(※1)。物事に動じない人は、プレッシャーをかけられてもあまり汗をかかず、その皮膚は文字どおり冷たく、「面の皮が厚い」のです。
神経が図太く物事を感じない人がヒーローとされ、私たちは余計に、そうふるまう人はどこかおかしい、とはなかなか思わなくなります。
これは、回避型の愛着スタイルの人たちです。
※1 Susan Cain, Quiet: The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking (New York: Penguin Books, 2013).
友達のできやすさを左右する「愛着スタイル」
愛着理論によると、人の友達づきあいは「安定型」「不安型」「回避型」の3つのスタイルに分けられます。これは自分と養育者との初期の関係を土台として育まれる愛着スタイルにもとづいています。
そして「回避型」の人は、友情を終わらせる傾向にあることがわかっています。