メンタルをうまく保つにはどうしたらいいのか。精神科医の西脇俊二さんは「イライラしている人からは離れたほうがいい。心をゆるめられない人は『究極の損』をすることになる」という――。

※本稿は、西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)を再編集したものです。

若いビジネスマンを問い詰める二人の中年ビジネスマン
写真=iStock.com/PonyWang
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人の感情に敏感な人は要注意

感じやすい人は、人の感情にも敏感です。そばにイライラしている人がいたら、そのイライラが伝わってきて、落ち着かない気持ちになります。

しかしイライラしている人は、こちらの事情など考えてくれません。デスクに書類をピシャンと置いたり、ドアをバタンと閉めたり、舌打ちをしたり、大きなため息をついたり。

地味ですが、「貧乏ゆすり」もなかなか耐え難いものがありますね。単発でダメージを与えてくるものとは逆に、こちらはカタカタカタカタ……と何分も継続します。激しい貧乏ゆすりの場合、振動までこちらに伝わってきて、本当に迷惑千万です。

これらの「他人のイライラしぐさ」には、どう対処すべきでしょうか。

イライラしている人から今すぐ離れる

一番良いのはもちろん、その場を離れることです。その相手を視界から外せば、不安感や恐怖感も、ほどなく収まります。

会議中など、離席しづらい状況でも、手はあります。私が研修医時代によく使ったのは、「院内ポケットベル」。近くの席に座った人の貧乏ゆすりがひどすぎて、もうこれ以上は無理だ……と思ったとき、院内ポケットベルをいったんオフにして、もう一度スイッチを入れていました。

そうすると、呼び出しがあったときと同じ「ピピッ」という音が鳴ります。これで、さも急用ができたかのような顔で、退散することができました。

スマホ使用が許されるシーンなら、スマホのバイブを鳴らすなどして、うまくその場を離れましょう。

どうしても離れられない状況ならば、「メタ認知」で乗り切りましょう。

イライラしている人と、それを見ている自分の状態を、客観的に認識しなおすということです。「怖い」「イヤだ」という思いの外側に一歩出て、冷静に分析してみるのです。たとえば、「この人、ストレス溜まってるんだな~」と分析する。

実際、貧乏ゆすりというしぐさは、無意識のストレス対処です。その人は、抱えているストレスを紛らわすために、足を震わせる動作によって、身体に別の刺激を入れようとしているわけです。