「メタ認知」で高みの見物

これは、イライラに「理由付けをした」ということでもあります。イライラしているのは、ストレスを抱えているせいである、と理由を明らかにすると、不思議と気持ちは落ち着くものです。

気持ちが落ち着いたら、あとは「高みの見物」モードになれます。

「ああ、期末で残業続きなのかな、気の毒に」と、他人事ながら少し同情できるくらいの余裕も出てくるかもしれません。

メタ認知は、自分に対してもできます。パニック発作の患者さんに対する「認知療法」として、医師はよく、発作中の自分を観察するよう指導します。パニック発作は、発生から鎮静化まで、一連の流れがあります。

患者さんが発作を起こしたときは当然「苦しい」わけですが、そこから一歩外に出て、「今、一連の流れの中のどの地点?」と、客観視すると、実際に、収まりが早くなるのです。

これと同じように、自分の状態も観察しましょう。「今、怖い『と感じている』な」というふうに、客観的に見てみましょう。

「今、相手を観察中」「今、怖さが少し減ってきた」といった具合で、変化を感じられ、次第により早くストレスを緩和できるようになるでしょう。

心をゆるめて、全身をリラックスさせる方法

引っ込み思案も、知らない場所が不安なのも、難しい話がスッと頭に入ってこないのも、自らの可能性の芽を摘んでしまうのも、緊張のせいです。緊張は人生のジャマをします。

逆に言うと、人生がうまくいく秘訣は「リラックス」です。

人は、能力を全開で発揮しているとき、リラックスしています。

伸びをするビジネスウーマン
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アスリートがすごいプレーをするときに、「ゾーンに入る」という言い方がありますね。そのとき、その人の自律神経は、リラックスモードの「副交感神経優位」になっています。勉強でも仕事でも、リラックスこそが、実力を発揮する秘訣です。

実力と言えば、「ここ一番でアガってしまって、実力が出せない問題」を抱える方々に、良い方法があります。どこでもできてすぐに効く、「漸進ぜんしん的筋弛緩法」です。

名前は難しいですが、要は「いったん力を入れてから、力を抜く」だけ。

これで身体の緊張がほぐれ、気持ちもリラックスします。

①右手でこぶしを作り、ゆっくり力を入れていく
②限界まで筋肉を緊張させたら、一気にスッと力を抜く
③左手で同じことをする。①~③を数回繰り返す

1分足らずで、すぐにできます。足や肩でもやるといいですよ。

人前に立つときなどに、ぜひ役立ててください。

リラックスできる方法を知っていれば、大げさでなく、人生が変わります。