なぜ私たちは人間関係に悩むのか。精神科医の西脇俊二さんは「人によって『自己重要感』を満たすポイントは異なる。そうしたタイプの違いを知っていれば、他人を恨んだり、自分を責めたりすることは避けられる」という――。(第2回)

※本稿は、西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

悩む日本人男性ビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

人間の個性は「3つのタイプ」に分けられる

精神科医として多くの方に知っていただきたい知識に、基本的な「人の3タイプ」があります。私が長年役立てているタイプ分類です。人間の個性は、①パーソナリティ重視タイプ、②パフォーマンス重視タイプ、③ブランド重視タイプに大別できます。

タイプ分類を知っておくメリットは、「相手の自己重要感を満たしやすくなる」ことです。

自己重要感は、人に必要とされたり、頼られたり、共感されたり、承認されたりといった経験によって高まります。人は基本的に、自分の自己重要感を満たしてくれる人を大切にし、その人の意見やお願いを聞いてくれやすくなります。

以下、三つのタイプの人物像と、自己重要感を満たす方法を紹介します。

①パーソナリティ重視タイプ
・人と接するときは人柄重視、物を選ぶときは品質重視
・信頼や愛情など、「目に見えないもの」に価値を置く
・穏やかな物腰の、気配りの人
・ただし、信念に反することは断固受け入れない
〈自己重要感を満たすには〉
・人柄を褒める、気配りに感謝する
・話を聞き、共感し、理解者になる
・誠実さと温厚さを前面に出す
・裏表のある人を嫌うので、ほかの人々にも誠実に接する
②パフォーマンス重視タイプ
・最短で最大の成果を目指す
・成績や実績、財産など「目に見えるもの」に価値を置く
・「自分への投資」に熱心
・明確で無駄のない話し方をする。ときに辛辣になることも
〈自己重要感を満たすには〉
・相手と同じく、なるべく無駄なくテキパキと話す
・「デキる人」であることを褒める
・空虚なお世辞は逆効果。成果を出したときにその事実を端的に評価するのがコツ
③ブランド重視タイプ
・権威、権力、地位などに価値を置く
・自由にふるまえることが幸せの源
・身振り手振りが大きく、エネルギッシュで行動力がある
・人に仕切られたり、コントロールされたりするのは嫌い
〈自己重要感を満たすには〉
・「すごい」「素敵」といった派手な言葉で褒める
・人前で褒めると効果倍増
・「さすが○○さん、ちょっと違うね」など、「あなたは特別」と感じさせる
・接している間は、相手のペースに合わせる

以上を踏まえ、まずは身近な人から、相手が喜ぶ接し方を実践してみてください。