物事を進めるときの「動機」の違い

「周囲の人を思い浮かべたけれど、3タイプにうまく当てはまらない」という感想が、きっと出てくると思います。それもそのはずです。

どんな人も、「100%このタイプ」になることはありません。たとえば、誠実で穏やかな基本はパーソナリティ重視タイプの人が、自分の学歴を内心誇っているなどの「ブランド要素」も持っている、といったことはいくらでもあります。誰の中にも、三つのタイプが混ざり合っています。その中でどの要素が強いか、と考えていくのが正解です。

次に紹介する「リスク/ホープ」というタイプ分けにも、同じことが言えます。これは、物事に向かうときの動機の違いです。これは実は結構大きなポイントです。

リスク型は、「○○になったら怖いから、○○しよう」というふうに、危険回避が動機になるタイプ。対してホープ型は、「○○できたらいいことがある! 頑張ろう!」と、希望がエンジンになるタイプ。

こちらも、「100%リスク型」「100%ホープ型」の人はめったにいません。図表1のように、二極の間で「リスク寄り」「ホープ寄り」のどこかに位置付けられます。

相手は「本音と建前」をどう扱っているのか

さらにもう一つ、「フィックス/フレックス」というタイプ分けを紹介しましょう。

図表2に載せたこの分類法は、人間関係づくりの有効なヒントになります。こちらは前の二つと違い、「フィックスか、フレックスか」に、かなり明確に分かれます。

フィックスにもフレックスにも複数の特徴がありますが、皆さんに注目していただきたいポイントは、「本音と建前」に対する、両者の対照的な姿勢です。

フィックスタイプの人は、本音と建前がくっきりと分かれています。自分の考えを言うとき、「これは本音」「これは建前」と、頭の中で線を引いています。

フレックスの人は反対に、本音と建前の境界が曖昧で、広いグレーゾーンがあります。発している言葉が本音か建前か、自分でもあまりわかっていない、というより、そもそも明確にする必要を感じていません。

フィックスの人は、ともするとフレックスの人に対して「どこまで本気なの?」「いい加減な人!」と不信感を抱きます。逆にフレックスの人は、フィックスの人を否定的に断じることはまれです。持ち前の曖昧さが、ここでは幸いしているようです。