仕事を上手にこなすには、どうすればいいのか。精神科医の西脇俊二さんは「繊細な人ほど、完璧主義にこだわる傾向がある。最初から100点を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切だ」という――。

※本稿は、西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

オフィスで苦しむ女性
写真=iStock.com/tuaindeed
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成功しやすい人、成功しにくい人はどこが違うのか

突然ですが、あなたは自分を「成功しやすい人」だと思いますか? それとも「成功しにくい人」だと感じていますか? 本稿では、成功しやすい人の意外な正体について紹介します。

まずは成功に至る前段階の行動についてですが、「やるべきことがきない」という自責の念に駆られる人がいると思います。この「やるべきことができない」とき、とくにHSPといわれる繊細なの人の心の中では、そのタスクが実際より大きく見える、という錯覚が起こっています。

本人も「本当は錯覚だ」と、薄々わかってはいるのです。わかっているからこそ、「大した用事じゃないのに……」という自責が上乗せされてしまうのです。そんなとき、「本当は大仕事じゃないんだから、頑張れ」と自分を奮い立たせても、あまり意味はありません。

考えるだけでため息が出るような事柄については、大きく見えるものを、小さく、細かく分けるのが近道です。大きく「見える」だけでなく、本当に大きい仕事でも同じです。これが、頑張らずに実行する方法、「スモールステップ」です。

仕事や課題を小分けにして考える

高い場所まで「5歩で上れ」と言われたら、一つひとつの段差が高すぎて、イヤですよね。しかし、50段に分ければラクですし、100段なら、もっと簡単です。低い1段を楽々上ると勢いがついて、2段目はもっと上りやすくなります。

「仕事をする」をいきなり目指さず、「まずパソコンを開く」だけ。
「ごはんを作る」ではなく、「まずは冷蔵庫を開ける」だけ。
「起床する」ではなく、「まず布団の中で座る」だけ……。

それだけでも大仕事だと感じるなら、さらに小分けを。

起きる前に座るのではなく、「寝返りを打つ」→「横向きになる」→「膝を曲げる」→「そのままゴロンとうつ伏せになる」なら、どうでしょう? 次のステップで「座る」に到達できる気がしませんか?

しんどいことほど、段差を低くしましょう。

「しんどいと感じる自分」を責める時間は全部省略して、自分に合った高さのステップを設定してみてください。段を細かく、低く、イヤでも上れるサイズにしてしまえば、必ず上れます。