繊細な人ほど、完璧主義にとらわれている

スモールステップには、やるべきことがやりやすくなる効果のほかに、もう一つ、大きなメリットがあります。1段上るごとに、小さな成功体験が積める、というメリットです。

一つひとつが簡単に達成できて、そのたびに「できた!」と思える。これは、HSPの方々があんまり味わってこなかった感覚です。

というのは、HSPと言われるような「繊細な人」は、成功を感じづらい傾向があります。その裏側には、「完璧主義」という心のクセがあります。

繊細な人は、なぜ完璧主義に傾くのでしょうか。それは敏感であるがゆえに、あらゆる情報が大きなボリュームで飛び込んでくるからです。

ほかの人なら、ボリュームが適度に絞られて、「これはどうでもいい」「そもそも、頭に入ってすらこない」といった自動的な取捨選択がされているものを、敏感な人は、「どの部分が重要?」「どこを押さえておけばOK?」と一つずつ判断します。

結果、「あれもこれも全部やらなくては」と感じたり、重要でない部分が少しうまくできなかっただけで気にしたり、ということが起こります。そこで、完璧主義の解除を行いましょう。

最初から100点満点を目指さないほうがいい

スモールステップで各タスクの「量」を小さくしながら、各タスクの「質」、つまり合格点を下げるのです。今、あなたが自分に設定している合格点が100点なら、50点でよしとしましょう。

100点の解答用紙
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

一気に半分になりますが、元が高すぎるので、これくらい大胆に下げるのがおすすめです。

ちなみに「50点主義」は、「期待しない」の一環でもあります。完璧主義とは、自分に期待しているあかしでもあるからです。

連載の第1回で「自分に期待しない」の話をしたとき、もしかすると皆さんは、こう感じたかもしれません。「そんなに向上心のないことでいいの?」「努力しなくていいの?」と。でも、そうではないのです。自分に期待しないのは、余計な一喜一憂に振り回されないための方策です。

目的はあくまで、思ったよりうまくいかなかったときに無駄に凹んだり、悩んだりする時間をなくすこと。そうしておいて、今できることをする、1段ずつ階段を上る、という姿勢を持ちましょう。

なお、実際に50点の出来栄えになったとき、「やっぱりヒドイな」「ここも、ここもできていない」と、ダメな点を数え上げるのもいい効果を生みません。元の目標が高すぎたのです。足りない50の部分ではなく、できている50の部分に着目しましょう。

「50点だから目標達成。合格!」。そのうえで、できる部分を確認して、足りない部分はまたスモールステップで上っていけばいいのです。