人間関係で悩まないための秘訣
以上、いくつかのタイプ分析を紹介してきました。相手の自己重要感を満たす手がかりが、少しつかめたでしょうか。3タイプごとの接し方は、すでに述べた通りです。
「リスク/ホープ」に関しては、相手に「頑張ってほしい」ときに活用できます。部下や後輩、パートナーや子供など、自分が応援している人のモチベーションを上げたいときは、相手がどちらのタイプかを考えましょう。
たとえば、大学受験を控えた子供を持つ親御さんの場合。ホープタイプの子供なら、「受かったら、車買ってあげる!」など、相手が楽しみに思うようなことを言うのが正解です。対して、リスクタイプなら「受からないと大変だよ。浪人はさせてあげられないよ」と、危機感に訴えるのが(少々気の毒ですが)効果的です。
では、「フィックス/フレックス」についてはどうでしょうか。
とくにフィックスの人が注意すべきは、フレックスの人をむやみに断罪しないこと。「こういう人なのだ」と認めることを意識しましょう。この両者は近しい間柄になると――とくに恋愛関係では、何かと軋轢が起こります。
フィックスさんが「愛してるって言ったよね? あれはウソ⁉️」と怒る。フレックスさんが「いやぁ、気が変わることもあるじゃん……」と火に油を注ぐ。
そんな修羅場が、しばしば展開されるのです。
もちろん、この場面でフィックスさんが傷つくのは当然です。気持ちを押し殺して平気な顔でいましょう、とは言いません。しかし、別れてから何年経っても、「あの人は悪い人だった」「あんな人を信じた私ってバカ」と思い続けているとしたら?
相手を恨むのも、自分を責めるのも、悩む時間がもったいありません。そこは「あの人、フレックスだったんだなー」で済ませたほうが、ずっとラクです。「良い・悪い」で考えないことは、人間関係で悩まないための重要な秘訣です。
「合う・合わない」は誰しも当然ある
ここまで登場したすべてのタイプに、「良い・悪い」の差はありません。あるのは、単なる「違い」だけです。
「パフォーマンスタイプってガメツそう」「ブランドタイプって俗っぽい」
「ホープタイプって能天気」「リスクタイプってネガティブ」
「フレックスって不誠実」「フィックスって融通が利かない」などと、自分と異なるタイプをジャッジしないことが大切です。
「合う・合わない」は、当然あります。合わないから距離を取ることもあるでしょう。それも、「どちらが悪いから」ではなく、ただ「違った」ということです。善悪でもなく、優劣でもなく、異なる個性として存在を認める。
このフラットな視点を持てれば、前稿でご紹介したスキル「期待しない」にも大いに効果があります。