目の前にいないと忘れてしまう
回避型の人が人を寄せつけないのはある意味、「対象の永続性」という心理学的なコンセプトに関係しているはずです。
対象の永続性がないと、自分の目の前になくて見たり触れたりできないものは、もはや存在していないことになります。
たとえば幼児がおもちゃのガラガラに夢中になっているときに、あなたが目の前でそれをテーブルナプキンの下に隠した場合、その子はキョロキョロして、おもちゃがどこに行ったのだろうかと混乱します。ガラガラという対象の永続性が見えないからです。
幼児は生後7カ月頃にこの成長段階を脱します。しかし、心理学的に言うと、回避型の人はこの段階をきちんと脱していないことになります。
友達が引っ越したり転職したりして視界からいなくなると、回避型の人にとってその友達は、頭から抜け落ちてしまうのです。
突然音信普通になるワケ
ルイスは言います。
「友達が姿を消したら、会いたいとは思いませんでした。電話をしたり手紙を書いたりもしませんでした。相手は怒っていたけど、必要性を感じなかったんです」
回避型の人はまた、たとえ相手がしばらくつきあった友達であれ、友情を終わらせて相手から離れることもします。感情を不快に感じるため、争いごとにうまく対処できません。
研究からも、回避型の人は友情を終わらせる傾向にあることがわかっています(※4)。
また、別れは強烈な感情を生む可能性があるため、研究によると回避型の人は、突然音信不通になるような、間接的な手段を使って相手との関係を終わらせたがります(※5)。
ジャレッドは大学生のとき、ルームメイトのリロイが、ほかの人が経験したことを自分の経験談として話していることに気づき、リロイは信用ならない、と思いました。
「それで、彼から電話が来ても無視するようになりました」とジャレッドは振り返ります。
軍にいたときの別の友達についても、一緒のグループチャットで無視して関係を切ったこともあります。
※4 Gillath, Karantzas, and Selcuk, “A Net of Friends.”
※5 Tara J. Collins and Omri Gillath, “Attachment, Breakup Strategies, and Associated Outcomes: The Effects of Security Enhancement on the Selection of Breakup Strategies,” Journal of Research in Personality 46, no. 2 (2012): 210-22, https://doi.org/10.1016/j.jrp.2012.01.008. 0265407512443612.