株式購入のチャンスを掴むには、どうすればいいか。京都大学名誉教授で経済学者の川北英隆さんは「企業への悪評や経営に対する非難が大きくても、少し調べればそれが的を射ていないこともある。日本での代表例がキーエンスである。10年ほど前、当時の大学のゼミ学生から『30代で家が建ち、40代で墓が建つ』とキーエンスの社員に教えてもらったと聞いた。株式購入のチャンスを逃さないためには、悪評や株価下落をデータで分析し、高い評価の裏付けを取り、株式を買うかどうかを判断することが強く求められる」という――。

※本稿は、川北英隆『個別株の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

シリコンバレーにあるGoogleの本社の建物
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企業の「外観」から素晴らしいかを判断するには

株式(個別株)を買うとして、どの企業を選べばいいのか。

これに対する絶対的正解は誰もわからない。わかったのなら、その瞬間に大金持ちが約束されている。わかっていたのなら、その情報は誰にも教えないだろう。

本稿では企業選びに関する見解を述べるが、絶対的なものでないことをあらかじめ断っておく。あくまでも参考意見であり、最終的には読者自身の判断に委ねられる。

最初に「企業の外観に基づく評価」を述べる。

企業の外観、経営者への評価

個人がどの企業の株式を買おうかと思案した場合、最初に目に入るのが「外観」である。筆者の駆け出しのころは東洋経済新報社『会社四季報』をパラパラとめくっていた。

今なら、ネット情報も身近にある。企業が提供する製品やサービスも多様化している。さまざまな角度からの情報を集め、評価し、その企業の良し悪しを判断するのが第一段階となろう。

ここからは個人的に「素晴らしいのでは」と思った企業名と理由を、読者のための参考事例として書いておく。

ただし、ここに登場する企業名はあくまでも事例で、独断と偏見に基づき、記憶から引っ張り出したものでしかない。さらには、最初にその企業名と出会ってから時間が経っているため、企業が変質している可能性もある。

加えて、実際にここに登場する企業の株式を買ったかどうかは明示しない。大雑把に言うなら、半分程度の企業を買ったと考えてもらっていい。

最初に登場するのは、投資家の間で著名なバークシャー・ハサウェイである。ティッカーコード(ただし一般投資家向けの株式のコード)は「BRK-B」である。

その2005年以降の株価推移を、のちほど登場する他のアメリカ企業を含め、図表1に示しておく。

【図表】アメリカの注目企業の株価
注:株価の目盛りとして常用対数を使っている。株価の単位はドルである。株価を示す線の傾きは株価上昇・下落率を表すことになる。 出所:NASDAQおよびGoogleFinanceのデータに基づき筆者作成(『個別株の教科書』より)