富士登山は「浅間大社への参拝」という意味がある

ただ頂上を目指して登り、ご来光を仰ぐことが目的だと勘違いしている人ばかりである。

実際には、世界文化遺産に認められたように富士山8合目以上が「日本人の信仰の聖地」であり、富士山頂上は信仰の上で、最も重要な場所である。

それが理解できれば、富士登山の意味も違ってくるだろう。

登山者に奥宮境内地という「神域」に入る意識がないから、ごみ、し尿廃棄などのマナー違反や、サンダル、Tシャツなどの軽装で弾丸登山を行い、結果として高山病や心臓発作に見舞われるトラブルなどが起きている、といってもいい。

だから、「浅間大社の協力があれば、入山規制ができるはずだ」と桜井県議は県議会委員会で指摘したのだ。

静岡県は、富士登山が、日本人の「信仰の聖地」である浅間大社の奥宮境内地へお参りするという意味があることきちんと説明すればいい。頂上は神様の場所である。

そんな簡単な事実を静岡県はこれまで一度も言ってこなかった。

登山客に「富士登山の意味」を周知すべき

静岡県は浅間大社の協力を得て、5合目で境内地への参拝を根拠とした入山料を徴収すればいい。政教分離の原則から自治体が主体となれないならば、何らかの団体の新設を検討すべきである。

そうすることで、現状任意となっている保全協力金1000円と同時に、入山料2000円を徴収することができる。これまでの保全協力金の経緯を見ても、浅間大社が入山料を寄越せと言うはずもない。

もともと「信仰の対象」として富士山が世界遺産に認められたのに、実際には、「信仰の対象」であることを登山者たちはきちんと理解できていない。

静岡県は、世界文化遺産に認められた「信仰の対象」を生かした富士山保全に取り組まなければならない。

静岡県はただ「富士山8合目以上は富士山本宮浅間大社の境内地であり、日本人の信仰の聖地であること」を登山者に伝え、5合目の3つの登山口で入山料の徴収を行えばいいのだ。