※本稿は、芹沢一也『3つのコツで誰でも話せる シノドス式シンプル英会話』(高橋書店)の一部を再編集したものです。
日本語は「私、行きました。レストラン。新宿。きのう」でも成立する
ひとつ思考実験をしてみましょう。
ほとんど日本語が話せないアメリカ人と、ほとんど英語が話せない日本人がいるとします。
アメリカ人は、I went to a restaurant in Shinjuku yesterdayを、日本語で伝えたいと思っています。
Iは「私」、wentは「行きました」、restaurantは「レストラン」、yesterdayは「きのう」だと知ったアメリカ人は、次のように言いました。
・I=私
・went=行きました
・restaurant=レストラン
・yesterday=きのう
他方で、「きのうは新宿のレストランに行ったよ」と、英語で伝えたい日本人が、「きのう」はyesterday、「レストラン」はrestaurant、「行った」はwentだと知り、次のように言いました。
Yesterday Shinjuku restaurant went
アメリカ人と日本人が、自分の言語の語順で話したわけです。
日本人は、「私、行きました。レストラン。新宿。きのう」と聞いたとき、多少の違和感は覚えつつも、何を言いたいのかはすぐに理解できますよね。
しかしアメリカ人が、Yesterday Shinjuku restaurant wentと聞いたら、違和感どころの話ではありません。呪文レベルで意味不明でしょう。
最初に乗り越えねばならない「語順の壁」
英語と日本語は語順が違う、と誰もが言います。
その通りなのですが、しかしより正確には、英語には確固とした語順があるのに対して、日本語の語順はきわめて自由なのです。上のアメリカ人の型破りな日本語が成立するほどの自由さです。
日本人が英語を話そうとするとき、最初に立ちはだかる壁がこれです。
みなさんも経験があると思いますが、英語を話そうとして、あせればあせるほど、あるいは、考えれば考えるほど、英語が崩れていきます。これは、日本語の語順感覚に頭が支配されて、英語の語順で言葉を紡ぐことができなくなるからです。
日本人が英語を話せるようになるためには、この語順の壁を最初に乗り越えねばなりません。STEP1では、まず英語と日本語の世界認識の違いを理解します。その上で、英語のモードで正しく言葉をアウトプットできるように、単語を並べるトレーニングを行います。