日本語から英語にモードを切りかえる
ぼくたちが日本語を話そうとするとき、つまり、何かを考え、それを言葉にしようとするとき、はっきりと決まった語順に並べることなく、助詞を用いてかなり自由に言葉を紡ぐことができます。
そして、ここがとても大事なところですが、これがぼくたち日本人の「言葉のアウトプット」の仕方だということです。きわめて自然に、無意識のうちに、そのように日々話しているのです。
道で突然、外国の方に話しかけられ、あせって英語を話そうとして、「駅はこの道をまっすぐです」と言いたいのを、station, this street straight, goなどと、日本語の語順で言ってしまうのもこのためです。
では、どうすれば日本語から英語にモードを切りかえることができるのでしょうか?
そのためには、「英語モード」では世界の認識の仕方が、日本語とはまったく違うことを、まず理解する必要があります。
日本人とはまったく異なる英語の世界認識
「英語モード」の世界では、「誰か・何か」が「何かをして」います。あるいはそのようなかたちで、英語ネイティブは世界を認識します。
ところが、「日本語モード」の世界では、そのようなかたちで世界は認識されません。
たとえば、以下のイラストをご覧ください(図表3)。
「さきほどお見せしたイラストは、何のイラストでしたか?」
少しあとにこう質問されると、多くの日本人は「図書館」と答えるそうです。それに対して、英語ネイティブの多くは、「男が本を読んでいた」と答えます。
これが英語と日本語の世界認識の違いです。多くの日本人は、最初に「図書館」を意識します。それから、「男が本を読んでいる」ことに意識が向かいます。
「日本語モード」の世界では、このように、まず「場所」(あるいは「とき」)が意識に上ります。次に、そこで「起こっている出来事」に焦点が当てられます。
まず背景が捉えられ、そのあとに出来事に向かう感覚です。