なぜ端的に話せないのか。『話し方の戦略』を上梓したスピーチライターの千葉佳織さんは「話し言葉では、『一文の長さ』が長いととたんにわかりづらい話になる。『ですが』が口癖になって一文が長く続いてしまう人も多い。意識的に句点を入れると、情報が短く、わかりやすく伝わる」という――。

※本稿は、千葉佳織『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

話し言葉は「音」でできている

話し言葉は、音声情報として伝わるものです。

話し言葉と対照的な関係にある「書き言葉」が「文字」として読み手に届く一方、話し言葉は「音」で聞き手に届きます。

音には形がありません。

書き言葉の場合は、一定の時間をかけて文章が形成され、あとからでも振り返ることができます。私がいま書いているこの言葉はいつでも読み返すことができますが、話し言葉は、基本的には時間とともに消えてなくなります。

机に座って、ラップトップの前で同僚とビジネスについて話しているビジネスマン
写真=iStock.com/chachamal
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「話す」行為はシビアなコミュニケーション

話し言葉のアウトプットは時間とともに消えていく。

つまり「話す」とは、瞬間的に言葉の解釈をしなければならない、とてもシビアなコミュニケーション形態なのです。

また、書き言葉の場合は、いちど書いたものをあとから削除したり加筆したりすることが可能ですが、話し言葉の場合はいちど言ってしまえばそれを取り消すことはできません。

よく、失言をした政治家が「発言を撤回します」と釈明することがありますが、本人が撤回宣言をしたとて、「言った」という事実はずっと残り続けます。

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