川勝知事が「入山料徴収」の障害に
ただ浅間大社と協力できない障害となっているのは、川勝平太知事である。
昨年8月23日の会見で、川勝知事は「(富士山の入山料は)義務化するのが義務だ。なぜか? 国立公園だから自然環境の保護は国民の義務である。同時に世界文化遺産となったから、国際公約なわけだ。山梨県側と調整しなくてはならないが、義務化に関わる方向性を出さねばならない」と述べている。
山梨県側と調整すると述べた背景には、川勝知事が2014年1月、富士山の山梨・静岡県境を定めないとして、当時の山梨県知事と「富士山保全は仲良くやっていく」と宣言をしたことがある。
浅間大社が長年望んできた8合目以上の県境画定を川勝知事は「山梨県と仲良くやっていく」と退けてしまった。
ところが、長崎知事は、川勝知事に何ら相談することなく、独自に入山規制を決めた。山梨県は入山料の義務化について静岡県と調整することなどなかった。
川勝知事が「定めない」とした両県の市町境も、日本政府が世界遺産推薦書に添付した「富士山地図」にははっきり記されている。つまり、市町境の確定は県知事が率先すれば、できないわけがないし、それほどの問題ではない。
いまとなっては、山梨県民がむしろ旗を連ねて浅間大社の富士山頂上の所有権に反対するはずもない。
英断した長崎知事、口先だけの川勝知事
反リニアを唱える川勝知事は、「南アルプスは国立公園であり、ユネスコエコパークだから保全する義務がある」などと何度も繰り返して、JR東海の静岡工区着工を認めない。
南アルプス保全でJR東海へ無理難題を求めることはできても、富士山保全の解決策は実際には何も行っていない。
政教分離の原則を守りながら、浅間大社と協力することは難しいことではない。
常識を覆して実行に移した長崎知事と違い、口先だけの川勝知事が富士山保全に真剣に向き合うのは無理かもしれない。