「次に不適切発言をすれば辞任する」と誓ったはずの川勝知事が、また物議を醸す発言をした。ジャーナリストの小林一哉さんは「川勝知事の価値観は30年前からアップデートされていない。こんな知事に2027年の開業予定だったリニアが狂わされている。静岡県民の負託に応えているとは思えない」という――。

川勝知事の「不適切にもほどがある発言」を記者が追及

静岡県の川勝平太知事は、周囲からどんなに「不適切発言」だと指摘されても、決してそれを認めない。

3月26日記者会見の川勝知事(静岡県庁)
筆者撮影
3月26日記者会見の川勝知事(静岡県庁)

だから、自らの発言を撤回して、謝罪することを断固拒否する姿勢を変えることはない。

3月26日の知事会見は、朝日新聞を皮切りに、共同通信、テレビ静岡、中日新聞、日経新聞の5人の記者が、「男の子はお母さんに育てられる」「磐田は浜松より文化が高かった」などの川勝知事の一連の発言に対して強い疑問を投げ掛ける異常事態となった。

記者たちは「発言を撤回して、謝罪すべきではないのか」とあらためて求めた。

川勝知事は「誤解を与えたが、(真意を)話せばわかる」と一切、受け入れる姿勢を見せなかった。

若い記者との価値観のズレが鮮明に

一連の質疑応答では、川勝知事の時代錯誤の価値観が、社会の変化に追いついておらず、若い記者たちとは全く違っていることが明らかになった。

それなのに、川勝知事は自分勝手な解釈で説明すれば、周囲がきちんと理解できると思い込んでいる。

その背景には、次に「不適切発言」をすれば、知事を辞職すると公言したことが大きく左右しているのだろう。

昨年の6月、9月、12月県議会に続き、3月18日に閉会した2月県議会でも、知事の不適切な対応に批判が集中した。今回は、県政の最高責任者としての自覚を求める決議案可決という大騒ぎになっている。

知事職にこだわり、権力者の座を失いたくない川勝知事は毎回、発言の撤回、謝罪を拒んでいる。

ただ今回は、県議会の場ではなく、定例会見の席で、5人の記者たちから“集中砲火”を浴びることになった。今後、「不適切発言」に対する川勝知事の政治責任を問う声はますます大きくなりそうだ。

いったい、何があったのか。「不適切発言」を行った状況を振り返る。