「頭のいい子」を育てるには、どうすればいいのか。小児科医の成田奈緒子さんは「読書や勉強させればいいわけではない。子供の自由な発想を否定せず、親が受け入れることが重要だ」という――。

※本稿は、成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

笑顔でパソコンを使用する親子
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「読み聞かせ」や「読書」に対する誤解

「国語能力を高めたいなら、本を読ませるのが一番だろう」

このように考える方は多いでしょう。確かに、本は子供の言語能力を発達させます。小さいときからぜひ、たくさんの本に触れさせたいものです。

ただし、その方法を誤らないように注意してください。「本を読みなさい」とうるさく言うのは逆効果です。義務だと思ったとたん、子供は読書を苦行だと誤解し、本を敬遠するでしょう。

本に触れさせたいなら、親自身が読書を楽しみ、家のなかに自然に本がある環境をつくるのがベターです。

そしてもう一つ、読書にまつわる「誤解」があります。

親が読み聞かせるにせよ、子供がひとりで黙読するにせよ、読書中には前頭葉は働きません。読書中の子供の脳波を測ると、活性化するのは視覚を司る後頭葉こうとうよう、言語能力を司る側頭葉そくとうよう、そして「からだの脳」に相当する大脳辺縁系のみです。

読書は「ただ読む」だけではなく、書かれたことについて思考を巡らせることに意義があります。子供の思考を促す言葉がけを工夫しましょう。

読書中、文字を追っている間は働かない前頭葉も、ふと本から目を上げて反芻はんすうしたり、本を閉じた後に内容を振り返って考えをまとめようとするときには急激に活性化します。ですからこの場面でも、親が子供の思考を「引き出す」働きかけが有効です。その具体的な方法をお話しします。