アニメやゲームの内容を聞く

動画の内容でもいいですし、ドラマやアニメも格好の材料です。「昨日のあれ、どんなお話だった?」「見逃しちゃったから教えて」と問いかけて説明してもらいましょう。ストーリー性のあるものは「あらすじ」を話すことになるので、大事なポイントを押さえつつ要旨を伝える「要約力」も鍛えられます。

もちろん、小さい間はうまくできなくて当たり前。ここも「桃太郎方式」で、正解を強いずに、前頭葉を働かせている様子を見守りつつ楽しみましょう。

日ごろ子供がいそいそと楽しんでいるゲームの説明をしてもらうのも、大いにおすすめです。多くの家庭では、ゲーム三昧ざんまいの子供を叱ることはあっても、ゲームに夢中になっている様子に関心を持ち、内容を聞き出すことはほぼ皆無。これは非常にもったいないことです。

関心のあることについて語らせてもらえるとなると、子供は俄然乗り気になります。「○○っていうキャラがいてね」「それが冒険に出てね」と一生懸命話そうとしてくれます。大人からすると稚拙ちせつな説明に聞こえるかもしれませんが、それもまたよし。子供自身は、何度も繰り返しやっているゲームだけに「話しやすい」感覚を持てているはずです。

ゲームをプレイするだけでは全く働かない前頭葉も、それを誰かに伝えようとすると一転、フル活動を始めるのです。このチャンスを生かさない手はありません。

ゲームをする二人の子供
写真=iStock.com/tylim
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「正論」は前頭葉の成長を妨げる

言葉を引き出す際、間違っても否定せずに受け入れるべし、という話に意外な印象を持たれた方も多いでしょう。

たいていの親御さんは、こうした場面でしょっちゅう否定をしてしまいます。それは主目的を「引き出す」ではなく、「正答を伝える」に置いているせいです。

親が、そこに注力する必要はありません。こころの脳が成長すれば、いずれ子供が自分で見つけ出せるようになるからです。親はそれを信じること、つまりは子供を信頼することが大事です。

日ごろの行動に関しても同じです。子供に「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と言うのは、子供が「いずれ自発的に勉強するようになる」と信じていないからです。

信じていないから、うるさく言う。これを続けていると、困ったことに「いずれ」が遠ざかります。

この手の正論が、前頭葉を鍛える機会を奪うことになるからです。