東京圏で家を買うなら立地はどう考えればいいか。経済ジャーナリストの山下努さんは「世田谷区と横浜市は避けたほうがいい。世田谷はベッドタウンの役割を終え、空き家が全国で一番多くなっている。横浜市は深刻な財政難を抱えている。だがまだまだ割高の世田谷区や横浜市の住宅を求める人も少なくなく、これからも多くの悲鳴が聞こえるはずだ」という――。

※本稿は、山下努『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

横浜
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バス便エリアはもう新築がほとんど建たなくなる

少子化や人口減少は進み放題で、東京圏も人口の減少が始まる。

仕事を東京に求める若者が多い郊外や地方でバス便のエリアではもう、新築マンションはほとんど建たなくなるだろう。

郊外や地方の人口減少を受けて、駅前の買い物需要を奪って発展してきた郊外のローサイドの店舗も都心回帰を始め、都心方向に立地を移している。

ロードサイドの大型店の閉店や撤退が増えているが、マンションなどに土地を再利用できそうな物件はほとんどない。

そうなると、郊外のロードサイド店の周りにできた住宅やマンションの価値も落ちて、若い層もますます出て行くために住人の高齢化に拍車がかかる。

世田谷と横浜は買ってはいけない

高齢者の車の運転による買い物が困難になり、ロードサイドの住宅街はさらに買い手がつかないまま暴落し、新たな空き家地帯になってしまう。

これは、最悪のケースを想定した場合、中途半端な立地の横浜市や世田谷区の未来でもある。

バス便が一日1往復に減った住宅街もあるが、バス事業は儲からないので会社ごと消える可能性すらある。タクシーも同じだ。郊外は駅徒歩圏の選択は必須だ。

だから、不動産業界も郊外での新規供給は抑える。私鉄沿線では駅前のタワマン建設を競い合っている。

世田谷区は23区の南西端で現在も23区最大の人口を擁するが、ベッドタウンとしての本質的な役割は経済と人口が増えたバブル期に終焉している。区市町村としては全国最多の空き家を抱えるのがその証拠といえる。

マイホームを買う場所として、なぜ「世田谷区はダメでなぜ大田区はOK」「横浜が売りでなぜ川崎は買い」なのか。

「ヨコハマ崩壊、世田谷心配」を知らない人々に、以下、解説していこう。