豊洲にまだまだ掘り出し物あり

地下鉄有楽町線の延伸が決まった江東区でも「豊洲」を冠したマンションが増殖する動きに拍車がかかりそうだ。

2001年から数年間は、「豊洲なんて変なところの地名をマンション名につければ売れ行きが悪くなる」ということで、「東京」などの名を冠した地名のない格安マンションが増殖した。

豊洲駅徒歩5分でも新築で坪単価は150万円、広さは100m2弱で5000万円弱の物件も豊富だった。我が家も似たようなものだ。

造船関連産業の匂いも残り、海外からの住民もいた。

かつての小学校のPTA通信は日本語、韓国語、中国語、タガログ語で書かれ、「多様性があって英語がないところが最高だ」と購入候補地に決めた。

当時は市場評価も低かったが、現在は外資系企業の関係者の住む街からオフィス街に変貌した。

私が道路の目の前の部屋を選んだのは、道路には新たな建物が建たないと判断したからだ。

豊洲においても「少しでも閑静な場所を」と公営住宅や公園に近いところを選ぶ人もいた。

しかし、高層化された公営団地や新しいタワマンの日陰になってしまった建物が続出している町である。

東京の晴海橋と豊洲ぐるり公園
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
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かつては「豊洲隠し」のマンションが多かった

こうした背景があって、20年近く前は、あえて名前に豊洲を冠しない「豊洲隠し」のマンションは普通にあった。

駅前の中古物件でも意外に値上がりせず、発売価格の2倍には届いておらず、タワマンでないためか掘り出し物が、じつに多い。

いまの豊洲の新築価格は、豊洲隠しの時代の2~3倍の価格だ。

「豊洲」の名を外したマンションは、資産価値を上げるため、「豊洲」に名を冠した名前に変えれば、もっと中古価格が上がるはずだ。

オフィスビルは、所有者が変われば名前も変わり、管理体制や賃料も変わる。

レジデンス(住宅)でもそうした時代がくるので、筆者自身が自宅マンションの理事を務めた際には、マンション名の改名という提案も軽くしてみた。

名前も「豊洲」を冠した「豊洲駅レジデンス」などとしたほうが、価値が上がるだろう。

リッチな中華系の客をとるには、漢字を入れたほうがいい。