川勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選が5月26日に投開票され、元浜松市長の鈴木康友氏が当選した。ジャーナリストの小林一哉さんは「『リニア問題を1年以内に決着させる』という自民推薦候補の訴えは静岡県民には刺さらなかった。県民はリニア問題をより正確に理解する候補を選んだ」という――。
静岡県知事選は7万7000票の大差で決着
川勝平太氏の後継者を決める静岡県知事選は5月26日投開票が行われ、立憲民主党、国民民主党の推薦を受ける元衆院議員で浜松市長を4期務めた鈴木康友氏(66)が、自民党推薦の元副知事で総務官僚だった大村慎一氏(60)ら5人の候補を破り、新知事の座を勝ち取った。
同日午後8時から後即日開票されたが、大票田の静岡市などで大村氏の圧倒的な優勢が伝えられたため、NHKはじめ各テレビ局などは「当選確実」を打つのが遅れた。
午後11時頃まで鈴木氏、大村氏は競ったが、結局は鈴木氏が大村氏に約7万7000票超の大差をつけて圧勝した。
リニア問題を理解していない候補への逆風
9日の告示日当初から、鈴木氏のリードが伝えられていたが、自民党の組織、団体への締めつけは厳しく、県中部、東部の首長らを中心に全県的に大村氏へ強力な支援体制が敷かれた。このため、選挙戦は終盤までもつれた。
鈴木氏の最大の勝因は、何と言っても、リニア問題での大村氏本人の無様な対応に有権者が「ノー」を突きつけたことである。
大村氏は、リニア問題解決に向けて「5つの約束」を掲げたが、選挙戦の最中に、「1年以内に結果を出す」とした約束を保留にしてしまい、“リニア公約”をたがえることになった。
実際には、大村氏が静岡県のリニア問題をちゃんと理解していなかったことが図らずも露呈してしまったのである。
自民党への逆風が吹き荒れる中、“リニア公約”の「異例の保留」は大村氏に対する信頼を失わせる結果となり、鈴木氏に大きく有利に働いた。