静岡県の川勝平太知事が5月9日に退任した。同日に静岡県知事選が告示され、6人が立候補した。ジャーナリストの小林一哉さんは「川勝知事はリニア妨害を続けることで『静岡県のメリット』を引き出そうとしたが、失敗した。新知事はこの失敗を繰り返してはいけない」という――。

静岡県知事選には6人が立候補

リニア問題の解決策を示さず、一切合切を放り投げて辞めた川勝平太・静岡県知事の後継者を決める選挙戦が、知事辞職と同じ9日に告示された。

17日間の選挙戦に入り、26日の投開票で、新しい知事が誕生する。

静岡県政を立て直すことが最優先課題となった知事選には、共産党公認候補と無所属5人の合計6人が立候補する大混戦となった。

中でも注目候補は、届け出順に元衆院議員で浜松市長を4期務めた鈴木康友氏(66)=立憲民主、国民民主推薦=と、元副知事で総務官僚だった大村慎一氏(60)=自民推薦=の2人だ。

リニア5つの約束を説明する大村候補
筆者撮影
リニア5つの約束を説明する大村候補
地域経済の活性化を訴える鈴木候補
筆者撮影
地域経済の活性化を訴える鈴木候補

大村氏は9日朝、静岡市役所前で第一声を上げた。リニア問題については5つの約束を掲げて、「責任を持って解決する。1年以内に結果を出す」などと訴えた。

鈴木氏は9日午後、JR静岡駅北口で「課題を克服して、日本一の幸福度を持てる県にしていく」などと支援を呼び掛けた。リニア問題には一切、触れなかった。

川勝知事が開けられなかった「JRの固い門扉」

大村、鈴木の両氏とも「リニア推進」と「水資源保全、南アルプス保全」の両立を掲げるため、「リニア反対」を訴える共産党静岡県委員長の森大介氏と違い、リニア問題に対する姿勢は選挙戦の争点にはならない。

そのため大村、鈴木の両氏は、川勝知事が放り投げたリニア問題をどのように解決へ導いていくのか、選挙戦を通して明らかにしていかなければならない。

川勝知事はリニア問題に関してさまざまな嘘やごまかし、言い掛かりをつけたが、結局、リニア問題の解決策を示すことができず、辞めてしまった。

リニア問題を解決できなかった最大の理由は、JR東海の「固い門扉」をこじ開けられなかったからだ。

JR東海の「固い門扉」とは何か?