富士山をはじめとする登山道には、山頂までのルートを10分割した「合目」がある。どのような基準で設けられているのか。『気になる日本地理』(KADOKAWA)を出した地理教育コンサルタントの宇田川勝司さんが解説する――。

※本稿は、宇田川勝司『気になる日本地理』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

よく晴れた日の富士山
写真=iStock.com/yongyuan
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300年噴火していない富士山も活火山である

日本が、環太平洋造山帯に属する世界有数の火山国であることは知られている。近年、富士や箱根、九州の阿蘇や霧島など火山特有の景観を求めて海外から多くの観光客が訪れるようになった。なにせ、世界の陸地のわずか0.25%にすぎない日本の国土に世界の全火山の約7%にあたる111の火山があるのだ。

火山といっても、桜島のように1年間に1000回以上も噴火する活発な火山もあれば、三宅島(雄山おやま)のように20~30年間隔で噴火を繰り返す火山もある。その一方では、乗鞍のりくら岳など有史以来(文献による検証可能な時代)噴火の記録がない火山が、111の活火山のうち約30ある。活火山とはどのような火山をいうのだろうか?

学校で習った方もおられると思うが、かつては桜島や阿蘇のように現在も活発に活動を続けている火山を活火山、富士山のように噴火記録はあるものの現在は活動を休止している火山を休火山、有史以来、噴火記録がない火山を死火山という表現で区分していた。

御嶽山の噴火で「休火山・死火山」は消えた

しかし、火山の活動の寿命は数十万年から数百万年とされ、数百年程度の休止期間はほんのつかの間の眠りでしかなく、噴火の可能性がある火山をすべて活火山と分類する考え方が国際的に広まるようになった。

日本でも、それまで噴火記録がなく、死火山と分類されていた御嶽山おんたけさん(長野県)が、1979(昭和54)年に突然水蒸気爆発を起こしたことがきっかけとなり、近年は休火山や死火山という言葉を使わなくなった。

2003(平成15)年、火山噴火予知連絡会は、世界的な動向や火山学的見地を踏まえて、「概ね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」を活火山として定義した。この定義によって、111の火山が活火山と選定され、気象庁はこれら火山を過去の活動頻度や規模などに基づいてABCの3ランクに分類し、さらに火山活動の状況に応じて1~5の5段階の噴火警戒レベルを設定している。

火山のランク分け
Aランク
定義/100年活動度、または1万年活動度が特に高い活火山。特に噴火活動が活発な火山で、常時観測されている。
13火山/有珠山・浅間山・三宅島・阿蘇山・雲仙岳・桜島など