一息つける場所が「合目」に選ばれている
また、富士山の登山道には、七合目や八合目以外に新七合目や本八合目、七合五勺などと呼ばれる地点もあって、登山者には紛らわしい。そもそも合目の標識を設置してある地点というのは、山小屋があったり、眺望のよい場所だったり、登山者にわかりやすい場所が選ばれている。
そのため、合目の間隔は等しいわけではなく、かなりアバウトだ。そこで、登山者のために合目の間隔が長くなっている区間の適当な場所や新しく整備された場所に「新○合目」という地点を設置したわけだ。
富士山以外でも、多くの山は登山道が一合目から十合目(山頂)まで区分されている。図表2は、日本100名山に選定されている伊吹山の事例だが、山頂の標高が1377mの山なので、合目の間隔は富士山よりはかなり狭い。
「合目」ではなく「丁目」で表す山も
やはり日本100名山の一つである福島県の磐梯山さんは、五合目が山頂というちょっと変わった山だ。これには、磐梯山の標高1816mが富士山(3776m)のほぼ半分なので、日本一の富士山に敬意を表して合目も富士山の半分にしたという説、磐梯山は明治時代の大噴火で山体崩壊を起こしているが、そのときに六合目以上が吹き飛ばされたという説があるが、真相はわからない。
埼玉県西部の武甲山は、登山道を「合目」ではなく、「丁目」で表示している。登山口の1丁目から山頂の54丁目(現在は52丁目)まで丁目石が置かれており、山を上り下りすると合わせて108丁目になる。これを108の煩悩とし、登山をすることでその煩悩を消すといういわれがある。除夜の鐘と同じだ。