間違いを伝えれば認める
見分けるポイント④ 不適切な行動を注意したときの反応をチェックする
不適切な行動を注意されたときにどんな反応をするか。これも、こどもたちの“特徴”を見極めるための重要なポイントになります。
「その行動はよくないね」と伝えてあげると、すぐに気づいて正すことができるのがADHDのこどもです。
ただ、その注意された内容をすぐに忘れてまた同じ行動をしてしまうので、そのつど確認してあげる必要があります。
そこで「どうしてそんな行動をしちゃったの?」と理由を尋ねると、たいていは答えが返ってきません。もともと振り返りが苦手なので、自分がなぜその行動をとったのか思い出せないのです。
また、「それは××のあとにやろうね」と指示したことに対して、待てずにすぐやってしまうのもADHDのこどもの特徴です。
なんでも“すぐ”がADHDと言えます。
それに対して、愛着の問題を抱えるこどもたちは、不適切な行動を指摘すると「知らないよ」「自分じゃないよ」と自己防衛的な反応をします。
理由を聞いても「知らない」とシラを切ったり、「だって○○くんが先にしてきたから」と誰かのせいにして言い訳します。
「自分を守ってくれる人がいる」という安全基地を体感できていないので、自分を守るためにウソを並べ、正当化しようとするのです。
「それは××のあとにやろうね」という指示に対しては、気分に左右されます。
気が向けば指示に従うこともありますが、ご褒美だけ先にもらって、肝心のことはしないということも少なくありません。
自分の理屈で反論する
困った行動を注意すると、「だって……」と自分の理屈で反論するのがASDのこどもです。
自分が納得できないことは、なかなか受け入れられません。
一人ひとりに独自の世界観がありますから、その子がどんな世界を見ているのかを探り、一緒に同じ世界に入ってみないかぎり、どうしても食い違いが起こります。
そのため、傍から見れば不適切な場合でも、自分がしたいと思えば実行します。
そこで理由を聞くと、「そんな理由なの?」と思うような独自の返答が返ってくるのも特徴。ASDのこどもが何か行動するときの基準は、いつでも自分の〈認知〉だからです。
見分けるポイント⑤ 困った行動を無視したときの反応をチェックする
こどもの困った行動を目撃したとき、あえて無視したり、取り上げない対応をしたりして、こどもの反応を観察してみてください。
ADHDのこどもは、その行動に報酬を与えられなかったので、自然とその行動はなくなります。
これは、「計画的無視」という方法で、応用行動分析・認知行動療法でよく使われるものです。ペアレントトレーニングでもよく使われていたりしています。