「いつでもどこでも」多動なのか

見分けるポイント① 「多動」のあらわれ方をチェックする

こどもと生活をともにする大人であれば誰でも見分けられるのが、「多動」のあらわれ方です。

落ち着きがなく動き回る「多動」は、ADHDに特有の行動だと思ってしまいがちですが、実はそうとも限りません。ASD(自閉スペクトラム)のこどもにも、愛着の問題を抱えるこどもにも多動は起こるからです。

ただ、その違いを見分けるのは難しくありません。

ADHDのこどもは、とにかく「いつでもどこでも」「何をしているときでも」多動です。

学校でも保育園でも、学童保育でも放課後クラブでも、スーパーでも公園でも、もちろん家でも、いつでもどこでも何をしていても落ち着きなく動き回ります。

「普段と違うから」とか「居心地がわるいから」というような〈認知〉とも無関係ですし、「楽しいから」とか「怒っているから」というような〈感情〉とも関係ありません。ただただ〈行動〉の問題として多動なのです。

自宅にいるときだけの行動では判断できないので、園や学校、学童などでも同じように多動であるかを確認する必要があります。

いろんな人からの情報を得て、「いつでもどこでも」多動だとわかれば、その子はADHDであるということになります。

公園で走り回る子供たちを追いかける女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです

「居場所感」と関係しているか

多動という特徴があっても、それが「いつも」ではないと気づいたら、他の可能性を探ってください。

ASDのこどもに起こる多動は、「居場所感」という〈認知〉と関係しています。

居場所感とは、「ここに居ていいんだな」「これをやっていればいいんだな」というとらえ方のこと。居心地のいい場所で自分の好きなことをしているとき、ASDのこどもはとても落ち着いています。

では、いつ多動が起こるのか。それはこの居場所感を失ったときです。

たとえば、こどもが落ち着いてお気に入りの本を読んでいるとしましょう。そのときに、「そろそろ出かける時間だから終わりにして」と言ってもなかなかやめません。

そこでさらに「ほら、早く準備をしないと間に合わないでしょ!」と本を取り上げると、居場所感を突然奪われたと感じて、その場を走り回り部屋を飛び出してしまう。

そんなことがあります。

また、急な予定変更やルール変更があるときにも、同じように反応します。

これがASDのこどもの多動です。