困った子供の行動の原因を見極めるにはどうすればいいか。心理学者の米澤好史さんは「愛着の問題を抱える子供たちは、一見するとADHD(発達障害)をもつ子供の行動ととてもよく似ている。例えば『多動』のあらわれで言えば、愛着の問題を抱えている子供の場合は多動に『ムラがある』が、ADHDは『いつでもどこでも』『何をしているときでも』多動であり、ASD(自閉スペクトラム症)は居場所感を失ったときに多動が起こる。それぞれの特徴の違いを知っておくと、むやみに心配する必要がなくなる」という――。

※本稿は、米澤好史『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

父親の仕事の邪魔をする子供
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愛着の問題は、いつでも、誰にでも修復できる

愛着という絆は、こどもが健やかに成長し、人生を豊かにしていくための基盤となるもの。こどもたちは、安定した愛着を結ぶことでゆるぎない自己肯定感を育み、人を信頼し、自立して歩みを進めることができるようになります。

愛着形成は、どんな子にとっても必要不可欠なものなのです。

ただ、本書でもお話ししているように、愛着の問題は「3歳児神話」と俗に言われるように乳児期の親の養育の問題だという間違った理解が広まったため、ある意味でタブー視され、親としてはあまりさわりたくないものとして扱われてきました。

けれども愛着の問題は、こどもたちをよく観察し、適切な対応を重ねていけば回復していくものであるという事実を、私自身が何万というこどもたちに出会うなかで確認してきました。

愛着の問題は、いつでも、誰にでも修復していくことができるのです。

さて、そこでまず重要になるのが、その子の“特徴”を見極めること。

こどもの抱える問題が「発達障害(ADHD)」の特徴なのか、「愛着の問題」の特徴なのかを見分ける必要があります。そして見分けるためのカギとなるのが、本書の第1章でお話しした〈行動〉か〈認知〉か、〈感情〉か、という観点です。

とくにつぎの5つのポイントでこどもたちの行動を観察すると、その子の“特徴”がよく見えてきます。