朝型と夜型の人はなにが違うのか
ヒトは地球上での生き方として「暗くなったら眠り、明るくなったら覚醒し、活動を開始する」生活リズムを選んでこれまで生き残ってきました。そのため、早寝早起き型の生活がヒトの心身の健康には適していると言われています。一般的には「朝型の人」「夜型の人」などというように、1日のなかでもっとも活動的になる時間帯は人によって異なります。これをクロノタイプといいます。
いくつかの分類がありますが、基本的には「ヒバリ型(朝型)」と「フクロウ型(夜型)」に分けられます。これまでの研究報告から、クロノタイプとは概日リズムそのものと考えることができます。
体内時計の指揮者的役割をもつホルモンであるメラトニンの分泌開始時間と日常の就床・入眠時刻、覚醒時間がお互いに関連していることから、いわば夕方から夜中にかけてのメラトニン分泌がスムースな人は早めに眠気が訪れて入眠できるので、ヒバリ型になるといえます。夜更かしで光を浴び続けることでメラトニン分泌が後ろにずれてしまう人は、眠気がなかなかあらわれず、寝つきも遅くなるのでフクロウ型と呼ばれる状態となるのです。
クロノタイプは変化するが、夜型が朝型になるのは難しい
クロノタイプは、素質として人生の早い時期に形成される可能性があると考えられています。従って乳児期早期からの入眠習慣が推奨されているのです。夜更かしをしなければ、眠りの時間の訪れを全身に伝えるメラトニンの分泌は夕方に始まりますから、夜更かしをして光を浴び続けることは入眠時刻のずれにつながり、フクロウ型になっていきます。
一方で、人生の初期にほぼ得られたクロノタイプが、個人の生活様式にともなって変化する可能性も示唆されています。ヒバリ型の素質をもって生まれても、10代頃まで日常的な夜更かし生活が続くと、フクロウ型に移行するというのです。逆の移行もありますが、フクロウ型からヒバリ型への移行のほうがむずかしいことがわかっています。
これは本来ヒトの概日体内時計の長さが24時間よりも少し長い(約24時間11分)ために、睡眠時間は遅くなりやすく、早くなりにくい素質をもつからです。
文部科学省は「早寝・早起き・朝ごはん」運動を続けてきました。朝ごはんを毎朝食べているお子さんと、週に1日だけ食べないお子さんでは、後者の学業成績が統計的に劣ります。朝食をまったく食べないお子さんは、明らかにほぼすべての科目で成績が上がりにくいことがわかっています。
そこで、朝ごはんをしっかり食べようという運動が起こりましたが、朝食をとるには朝の時間のゆとりがなくてはなりません。フクロウ型のお子さんは、食べる時間を惜しんでも寝ていたいのでしょう。食欲がわかないからと、朝食をとらない子どもが多くいます。
フクロウ型の生活は、子どもの心や体にさまざまな悪影響を及ぼすことは、ここまでも説明してきました。具体的に、どういった影響があるのか、ここでは解説していきたいと思います。