※本稿は、宮口幸治『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
ゴロゴロしている親が叱っても説得力がない
いつの世も親は、子どもに対して勉強をする習慣を身につけさせようとします。しかし、私がいつも思うのが、親自身はどうなのか、ということです。
子どもは身近な大人をモデルにしながらいろいろなことを学んでいきます。その一番のモデルは親です。
私の知り合いに、仕事から帰ると必ず寝るまでに本を読むという人がいます。時間はその日によって変わるのですが、必ず毎日読んでいるというのです。すると、そのお子さんもやはり本を読む習慣がついたそうです。
勉強も同じだと思います。例えば、仕事から帰ってきて、いつも机に向かって何か勉強をしているという親の様子を見ていたら「自分も何かしよう」という気持ちになります。しかし、親が家に帰ってきて、お酒を飲んでテレビを見てゴロゴロしているときに、子どもに「勉強しなさい」と言っても説得力がありません。子どもに勉強をしてほしかったら、親も勉強している姿を見せることが一番かと思います。
もし、子どものスマホを見る時間も減らしたいなら、親もスマホを触らないようにしなければいけません。電車に乗って周りを見ると、ほぼみんなスマホを触っています。それなのに子どもだけに「やめよう」と言うのは、無茶な話です。
すぐに集中が途切れてしまう子にかける言葉
子どもの集中力を養うためには、まず子どもの特性を観察して、どういうときに集中しやすいか、何分ぐらい経てば集中が途切れるかなど、子どもの特性をしっかり見極めることも大切です。
例えば、10分ぐらいすると集中が途切れる場合は、学習開始から8~9分ぐらい経って、そろそろ集中が途切れるというタイミングで「今日はちゃんと聞いてるね」など、一言声をかけるようにすれば、その子はリセットされて、またそこから10分くらい集中できるのです。
このように子どもの行動を観察して、どうしたらその子が集中を保てるかというデータをたくさん集積するようにします。小学校だったら、先生の目が届きやすい一番前の席にするという手がよく使われていますが、もしかしたら、そうではなく後ろの席のほうが集中するという子もいるでしょう。その子に適した学習環境があるはずです。