平日夜の睡眠時間が6時間を切る中高生は6割以上

では、具体的に「どれくらい眠るか」を考えていきましょう。一般には、起こされずに自然に目覚めることができる睡眠時間を考えればいいですよ。休日の朝、目覚ましや家族に頼らず、自然に目覚めたときの睡眠時間が、お子さんが必要としている夜間基本睡眠時間(Nighttime basic sleep duration=NBSD)に近いのです。

【図表1】推奨されている年齢ごとの睡眠時間
推奨されている年齢ごとの睡眠時間(出所=『親子の「どうしても起きられない」をなくす本』)

図表1にある推奨されている睡眠時間と、お子さんのNBSDを比較してみてください。「平日はなかなか起きることができないのに、休日は早起きして好きなことをしている」というお子さんは、そのままの睡眠時間をNBSDとして考えることはできません。

そのような睡眠が続いている場合は、平日の朝6時に起こされずに目覚めるには何時に眠れば良いかを、前日早めに入眠することで探してみてください。そこではじめてお子さんの適切な入眠時刻がわかります。最近の熊本県のとある市のデータによると、平日夜の睡眠時間が6時間を切る中高生は60パーセント以上いると報告されています。

小学生は20時に寝て6時に起きるのが健康的

ここまでのお話をまとめ、お子さんたちが学校生活を生き抜くためのありかたについて、ここでは考えてみたいと思います。提案するのは、次の3つの生活スタイルです。

①早寝・早起きスタイル

文部科学省が推奨する「早寝・早起き・朝ごはん」運動のような、昔からの伝統的な生活スタイルです。まず、入眠と起床のスケジュールを考えます。どの年齢にもかかわらず、学校生活を送るお子さんの起床時刻は、朝6時台がおすすめです。

理由は、比較的ゆとりをもって7時頃に朝食をとれること、小学生では7時15分から30分頃の集団登校に参加し、8時頃に始まるクラス会や授業にも参加しやすいからです。全国的にも、多くの人びとの朝の起床時刻は6時台だと報告されています。つまり、日本社会が、朝6時台の起床を求めているとわかります。

そうすると入眠時刻は、個人が必要とするNBSDにより決まります。5歳頃までに短く、最終的にはなくなっていく昼寝による変化はあるものの、NBSDは9歳頃まで変化が生じません。NBSDの平均が10時間程度である幼児期〜小学校低学年のお子さんの場合、朝6時台の起床を守るために適切な入眠時刻は平均して20時台であることがわかります。

この計算によると、NBSDが9時間の場合の適切な入眠時刻は21時台、8時間では22時台と設定できます。「友達が6時間しか寝ていないから自分も6時間で」というのは、自分自身の健康を守ることにはなりません。お子さんが自主的に決めることも大切です。