メンテナンスのメリットを享受

長期間使用するのであれば、自費で購入する手も考えられるが、購入とレンタルを比べると、車いすや歩行器でも総合評価ではレンタルに軍配が上がる。たとえば表にあるように、自己負担額が1割の人なら介護保険を利用することで、車いすの「ウルトラシリーズ標準タイプ(自走用)」(参考価格11万円)を月500円、歩行器の「シンフォニーEVO」(参考価格4万1040円)を月300円で借りられる。そして購入する場合、前者は18年超、後者でも11年超という長い期間使い続けないと、レンタルしたほうが安くなる。また、それ以外のメリットもある。

「車いすや歩行器は、タイヤが磨り減ったり、外でぶつかって壊れたりと消耗しやすいのです。しかし、レンタルなら定期的なメンテナンスが受けられます。通常の使用で故障などの不具合が発生してもその都度、修理してもらえます。購入したら、タイヤの空気入れや機械の油差しまで、自分でやらなければなりません。利用者にも介護者にも、大きな負担になります」(鐵さん)

さらに、時間が経つと、要介護度が重度化してしまうなど、利用者の全身状態が変化するケースも少なくない。そうしたケースでも、車いすや歩行器を購入していると、買い直さなければならないが、レンタルなら状態にあわせて交換してもらえる。

ただし、介護保険の認定を受けていない場合や、外出する距離が短い場合、介護保険の対象外のシルバーカーのほうが、歩行器よりも軽量で持ち運びをしやすい。利用する人のニーズに応じて、介護グッズを賢く使い分けたい。

鐵 宏之(てつ・ひろゆき)
居宅介護支援事業所「てつ福祉相談室」主任介護支援専門員・社会福祉士
合同会社「鐵社会福祉事務所」代表社員。1981年、埼玉県生まれ。2004年、日本社会事業大学卒業。11年、介護支援専門員の資格を取得し、ケアマネジャーの実務を開始。18年、主任介護支援専門員の資格を取得し、てつ福祉相談室を開設。
(撮影=加々美義人)
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