東京五輪の選手村跡地にできるマンションに住みたい人々
東京・湾岸エリアにできる東京五輪の選手村は、大会終了後に総戸数5632戸(分譲4145戸、賃貸1487戸)のマンション群「ハルミフラッグ」となる。購入希望者に示されている予定価格は約90平米の3LDKで8000万円程度、坪単価は約300万円と高額なものが多く、全体的に間取りは広めだ。
現在の都内マンション相場と比べれば、この坪単価は標準的な水準だが、当初はもっと安い価格で売り出されるとみられていた。最寄り駅の都営大江戸線・勝どき駅までは、近い棟でも徒歩17分、遠い棟では徒歩20分以上かかり、アクセスがよいとはいえないからだ。
最寄り駅まで徒歩20分で8000万円というマンションを一体誰が買うのかと思う向きもいるだろう。だが、4月27日に販売センターがオープンすると、5月の大型連休には6月末まで予約が埋まるなど注目度は極めて高い。実際に買うとどうなるか。シミュレーションをしてみたい。
「入居できるのは4年後」が意味すること
ハルミフラッグに入居できるのは2023年3月からだ。これは選手村として使用後に、大幅にリフォームされるためだ。新築マンションの入居は購入から時間がかかることも多く、1年後というのも珍しくない。2年後ということもある。しかし、さすがにハルミフラッグのように4年後というのは聞いたことがない。
筆者は都内でファイナンシャルプランナーとしてお金の相談を受けているが、マイホーム購入で相談に来る人の多くは「共働きで小さい子どもがいる30代半ばの夫婦」だ。入居が4年後となれば子どもは小学校に進学していることもあるだろうし、収入や勤務先も変わることもあるだろう。
また、本人や親の健康状態などライフプランが大きく変わる場合もあるはずだ。にもかかわらず4年というタイムラグを踏まえ、今の時点で購入を判断しなければいけない。これには大きなリスクとなる。