正社員共働き年収2000万世帯が離婚で「没落」するまで
「1年前に突然、妻から熟年離婚を要求され、しばらく冷却期間をおいたのですが、結局別れました。一人暮らしになってから毎月10万円の赤字が続いています。どうしたらいいでしょうか」
都内在住の五嶋雄二さん(55歳・仮名)はそう言ってうなだれます。自身の定年や子どもの大学入学などのタイミングで離婚をする、いわゆる「熟年離婚」が増えていますが、五嶋さんの場合は精神的にも経済的にもダメージが大きかったようです。
五嶋さんは外資系の金融機関に勤務し、元妻の絵里子(48歳・仮名)さんは大手流通系の会社に勤めています。手取り月収は52万円(五嶋さん)、43万5000円(絵里子さん)、ボーナスは年間160万円(五嶋さん)、126万円(絵里子さん)で、手取り年収が1400万円、額面で2000万円を超える「正社員夫婦」の裕福な世帯でした。
55歳独身、可処分所得月42万円でも月10万赤字の深い闇
子どもは大学4年の長男と大学2年の次男で、ともに東京のトップクラスの大学に現役合格。その喜びもつかの間、昨年の春に妻から、「子育ても、家のことも、お金のことも、全部私に押し付けられて、これまでずっと我慢してきた。次男も大学に入ったし、これを機に離婚したい」と切り出されてしまったのだそうです。
絵里子さんが提案した離婚の条件は「子どもと暮らすのは私。慰謝料はいらないので、貯金・財産は半分ずつ分けよう」というものでした。東京都内の一等地にあるマンションは売り、ローンの残債を引くと、それぞれ1400万円ずつの現金が残りました。
離婚後、五嶋さんは子ども2人が大学を卒業するまでの養育費として毎月計10万円、それに加えて次男の学費を担当(長男分は元妻担当)することになりました。五嶋さんの場合、次男の大学の授業料は年間で約140万円かかりますが、これはボーナスから出すことにしました。
結局、元妻にわたす養育費10万円を差し引いた月収42万円を五嶋さんひとりの生活費として使えることになりました。新たに賃貸マンションの家賃(14万5000円)がかかるようになったとはいえ、この手取り月収で赤字とはどういうことなのでしょうか。